運命なんてありえない(完結)
〜新たな出会い〜
それから2年間…
幸い両親からもらった顔は整っていて、暴飲暴食さえしなければ体型もそこそこをキープできていた
とまぁ、恵まれた容姿からかそれなりに異性からのアプローチもあったが、今更男なんて信じられるはずもなく、全て遊びで終わらしてきた
これからもそんな生活が続くんだろうと思っていた
そんな私が今直面している危機…
「ワンッ」
ひぃーーー
ここは全国的に有名な企業のラグビー部のグランドの横の道路
ワールドカップ以降、ラグビー人気によって週末にはこのグランドも多くの人が見学にきてるけど、さすがに平日は疎らだ。
そして今、私の目の前にいるのはCMに出てきそうな程に愛らしいチワワ…
でもでもでも
幼い頃、通っていた保育園の隣の家の犬に手を噛まれるという経験がトラウマになり、犬が大の苦手な私にはこの愛らしいチワワも悪魔のように怖い
黒の艶やかな毛並みがそれを上長させている
その小さな悪魔が私の進行方向のど真ん中に座り込みこちらを見つめている
横を通り抜けることもできるんだろうけど、無理無理無理!
近付けないよーーー
桃色の首輪をしてるから女の子かなー…なんて呑気なこと言ってないでどうしよう
これから大事なお客様への納品なのに、こんなとこで足止めをされていては約束の時間に遅れてしまう。
お客様と約束の場所にはこの道を真っ直ぐに…あと50メートルくらいなのに
「ワンッ」
「ひっ」
再び吠えられ、一歩後退りをして手に持っていた商品を胸に抱き締める
大事な品物を落としてはいけない
小さな悪魔は「ハッハッ」と尻尾を振っている
こ…これは…狙われている…
もう一歩後退りをする