運命なんてありえない(完結)
「じゃ撮りますねー」
撮影開始…
みんな開始ってなると固くなるのよね
佳香に視線を送ると、佳香は頷き1歩前へ出る
「みなさーんニコニコ笑顔ですよー」
そう言って最高の笑顔を見せる佳香
佳香に合わせて笑顔を作る選手達…だがまだ固い
「いいですねぇー、あっキャプテンの笑顔いいですねぇー!」
佳香の声に一斉にキャプテンを見る選手達
本当はキャプテンもまだガチガチだけど、こういう時に誰かの顔を見ると自然と笑えるものだ
「ぶはっ」
誰かが我慢できずに笑い出せば、みんなが釣られて笑う
その隙にシャッターを切る
真面目な顔の写真は練習の時にたくさん撮れるから練習じゃない時はやっぱり笑顔がいい
「はいオッケーです」
みんなが笑い合ってるうちに集合写真を終了させる
え?もう?という反応の選手達
「みなさん笑顔が上手なのでいいのが撮れましたよ。」
悪魔のように営業スマイルをかます
「続いてお1人ずつのお写真をお撮りしますので、順番に今佳香がいる所に来てくださいね」
そう言って、少し離れたところに移動していた優秀なアシスタントを示す
「上半身と全身とお撮りしますので、ポーズはお任せします。まずはキャプテンからお願い致します。」
「はひっ」
突然の指名に焦るキャプテン…こういうのはチームリーダーからやるのがやりやすいんだけど、この緊張の仕様…あっそうだ
「キャプテン、クロちゃんと写ったらどうですか?」
「え?いいの?」
「もちろんですよ。チワワと写ってたらイメージアップにもなりますね」
「連れてくる!」
キャプテンは自身の部屋からクロを連れて来るべく建物の中へ入っていった
「キャプテンの後の順番決めといてくださいね」
そう笑顔を残し、佳香の近くへ移動する。
「佳香、これから犬がくるから私のこと守ってね」
佳香は数少ない私が犬を苦手とすることを知っている人物
「え?嫌ですよ。その役目は酒井くんにお任せします」
と私の背後に視線をやる。その視線を追うように振り返るとすぐ後ろに酒井くんがいて目を丸くさせる
「もちろん喜んでお守りしますよ」
殺人的スマイルで言われ瞬時に顔に血がのぼる
こんなドンピシャどストライクに守られたら心臓がいくつあってももたない
「佳香、三脚用意お願い」
赤くなってるだろう顔を見られたくなくて酒井くんから顔を背け佳香に指示を出す