運命なんてありえない(完結)
「はいじゃあ、キャプテンはクロちゃんお部屋に戻して来てくださいね!次の方〜」
佳香が次の人を呼ぶ
次にやってきたのは監督さんと思しき人
佳香とその人が喋りながらポジショニングをしてる隙に、後ろにいた酒井くんを振り返り質問をする
「順番って年功序列なのかな?」
「そうですね、こういうとこは体育会系なんで順番があるものはほぼ上からです。なので俺は1番最後です」
相変わらずの低音イケボにドキドキしながらも、仕事を果たすべくお願いを1つする
「お願いなんだけど、順番に来た方々がキメ顔とかしようものなら笑わせてもらえないかな?」
大抵は佳香と笑顔で喋ってるうちに終わるとは思うけど、たまにキメようとしてくる人もいるだろうと予測がつく
「お易い御用です」
またも極上スマイルを向けられもう心臓が破裂寸前かと思うくらい激しく動いてます
その後は佳香の優秀なアシスタントと酒井くんの絶妙な笑わす技術(後ろでやられてるので見えない)によりスムーズに進んだ
「はいオッケーです!次の方ー」
「あ、次俺でラストです」
後ろから聞こえた声にまたドキッとしながらも、平静を保つ
「カッコよく撮ってね」
コソっと耳元で囁かれた低音ボイスに思考回路はショート寸前どころかショートしました
耳が熱を帯びる…
その光景を見てニヤニヤと待つ佳香の指定の位置に左手を腰に当てた状態で立ち佳香と喋りながらこちらを振り返る
「何て囁いたんですか?」
「内緒です」
「やーんあとで本人に聞いときますー」
なんて会話丸聞こえですが、きちんと仕事をする佳香は酒井くんを前へ誘導する。
酒井くんもずっと私の後ろで見てたから動きは理解してて、誘導された場所に止まるとカメラに…いや、カメラを覗く私に極上の笑顔をくれる
思わずシャッター押しちゃったけど…
あぁやっぱりなぁ…
プレビューで映し出された写真を見て滅茶苦茶感情が入ってしまったと自己嫌悪
真っ赤な顔でしかめっ面をしている私を見て酒井くんと佳香がキョトンと顔を見合わせている
こうなったら予備でもう1枚撮っておこうとファインダーも覗かずにシャッターを押す
「「え?」」
さすがに2人も驚いたようでカメラを覗きにきた
佳香がデータ再生の操作で酒井くんの上半身アップの写真を画面に映す
そこには極上スマイル+私の萌えフィルターにより3割増に写っている酒井くんの姿