運命なんてありえない(完結)


「時期がきたら機会は私が用意しよう。それまでに大也は結果を残しなさい。」


「結果…」


「年末にあるワールドカップの代表に残り本戦で活躍し知名度を上げる。8月からはトップリーグも始まる。結果を残し、自分こそが彼女に相応しいのだと示しなさい。まぁ、それで気付く彼女ではないが、君の自信にもなる」



「はい!ありがとうございます!」


言われなくても結果は残すつもりだ


そのために俺はこのチームへきた



結果を残せば彼女へ近付く


今まで闇雲に努力だけしてきたことが、ここへきて少しだけ先が見えた




話が終わり、社長と吉野さんと共に視察室を出ると慌てて逃げていくチームメイトの後ろ姿


「仲間思いですね」なんて吉野さんの言葉に2人して笑っている


もしからしたら社長はチームメイトが盗み聞きする事も承知の上で視察室を指定したのかもしれない…なんて憶測もよぎる






こうして明確なビジョンが見えた俺は今まで以上に努力をした


研修が終わり配属されたマーケティング企画部では練習があるため午前の業務のみに関わらず、他の新入社員と変わらぬ速さで業務も覚えた


練習でも今まで以上に意識して取り組む

意識すればしただけ、改善すべきところも見えてきた





ワールドカップの代表枠にも残り、トップリーグでも今のところまずまずの成績を残している






そんな俺の最近の悩みは広報の青山とかいう女


大学卒業と共に割り切った付き合いからも全て卒業したので、入社してからは告白もそういったお誘いも全て断っている


なのにしつこい


そもそも濃い化粧も好きじゃないし、仕事中に俺の部署に来られても邪魔でしかない

まともに自分の仕事もできない人に割いてる時間が無駄にしか感じられない


俺がその女の標的になっている話をどこかから聞いたのか社長も「いずれ処分する予定だから暫く我慢して」と言っていたで、少しの辛抱なのだろう


とにかく俺は目前に迫ったワールドカップに備えるだけだ




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