運命なんてありえない(完結)
〜決戦の時〜
「杏さんなら大丈夫ですよぉ」
席に戻ってきた佳香さんが平然と口にする
「1対1なら杏さんは負けることはまずないですね」
おかわりで取ってきた料理を次々に口の中に入れていく
見ていて気持ちがいい食べっぷりだ
杏さんが信頼して連れてきている佳香さんが言うのだから大丈夫なのだろう
俺も短くなってしまった昼休みを取り戻すべくいつもより急いで食べる。
昼休みが終わり、練習の為にグランドへ移動する
今日はミーティングからということで寮の自室で着替えてからミーティングルームに入る
全員が揃いキャプテンが前で話を始める
「本日、撮影が行われるが、カメラマンは皆が知ってる通り大也の想い人『日下杏』さんだ!」
雄叫びをあげる男達
真面目な顔で何を話すかと思えば…
俺は机の上にガックリとうなだれる
「そこでた!」
キャプテンが再び声を張る
「大也が本日24時までに、5年間の片想いを実らすことができるのか否か!1口1000円から受付スタート!!」
手に持ったスコアブックの前回の試合の次のページを開き賭けに乗って群がる男達の名前をメモしていく
賭けの期限が今日の24時ということで意外と成功と失敗と分かれているようだ
「大也!」
項垂れていた顔を上げると全員が俺を見ていた
「お前はどっち?」
どうやら俺の参加は強制のようですね
「今日決めるに決まってるじゃないですか」
今日を逃せば次いつになるのかなんてわからないし、もしかしたら次なんてこないかもしれない
「では以上で本日のミーティングは終了とするが、間もなく社長達が上がっているので座って待機」