運命なんてありえない(完結)
おまけ
〜彼氏と親友〜
大也くんと付き合い初めて1ヵ月程が経った頃
親友である拓ちゃん(苗字はなんだっけ?)と大也くん行きつけの小料理屋に来た
駅で待ち合わせしてる時に大也くんから電話があり、「俺も杏さんの親友に会いたい」と言うのでお店で合流する事にした
大也くんと初めて来た日から2人でちょくちょく通い、すっかり大将とも女将さんとも仲良くなった
引き戸を開け中に入り「こんばんは」と挨拶をする
「おぅ杏ちゃん…こんな男前連れてきて…」
私の後に店に入った拓ちゃんを見て固まる大将
「親友の拓ちゃんです!後で大也くんも来ますんで、奥に座りますね」
大也くんと初めて来た時に座った所に座る
後で彼が来てすぐに座れるように隣のテーブルを拝借し4人がけの席を作る
女将さんがいつものようにお冷とお絞りを持ってきてくれる
「杏ちゃん、こんなイケメンどこに落ちてたのよー」
なんて冗談を言って飲み物の注文をとり奥に戻っていく
「拓ちゃんがイケメン…?」
飲み物を待つ間に本人に確認をする
「おぅ、まさかお前気付いてなかったの?」
「全然」
大学の頃からの付き合いだから8年程になるけど、やたら女の子にモテるなぁくらいには思ってたけど拓ちゃんをイケメンだと思ったことは1度もない
だから親友でいられるんだな
そんな時、店の引き戸が開き大也くんが入ってきた
大也くんが大将に「こんばんは」と挨拶をすると「おぅ大也!杏ちゃんが男前連れてきたぞ」
といらぬ情報を与える
「お待たせ」とこちらにくる大也くん
「お疲れ様」と声をかける
「よぉ大也。杏が彼氏も来るって言うからどんな奴かと思えば、良かったじゃねぇか」
ん?
拓ちゃんが大也くんに言った言葉に疑問符が浮かぶ
「拓さんお久しぶりです。ありがとうございます。」
んんん???
大也くんのセリフにさらに疑問符が増える
「2人知り合いなの?」
しかも名前で呼んじゃう程の…
「ああ、大学卒業前からな」
なんですって…
大也くんが私の隣に座ると女将さんが飲み物を持ってきた
「今日はそこんところ全て話すまで帰しません!乾杯!」
勝手に乾杯の音頭をとり、飲み始める
親友と彼氏が知り合いだったことには驚いたけど、知り合いならいらぬ心配もかけないし安心だと気付くのはまた先の話
この日は親友と彼氏の過去の話を聞きながら、時々突っ込みも入れながら、夜が更けていく
fin(2017.04.18)