Death carried
多大な戦果を挙げたと主張するストーンコールドと、部下を捨て駒にして敵を全滅させたと批難するA中隊の生き残りとの間で、戦後に生まれた軋轢。

結果としてストーンコールドはオランダのハーグに送られ、ハーグ陸戦条約によって裁かれる筈だったが…。

「こうして俺達の前に現れた所を見ると、まんまと逃げおおせたって事か」

「大戦時の英雄を裁こうって条約の方がどうかしている」

悪びれもせずに答えるストーンコールド。

立つ位置によって、悪行にも正義にもなる。

戦争とは、かくも愚かしくも罪深い行いだ。

「だがその英雄に対し、世間は冷たいもんだ。俺は職を失い、こうして世直しの為に裏稼業で生計を立てている」

「世直し?生物兵器テロが世直しだっていうのか」

ストーンコールドを睨むバニング。

「アメリカ人お決まりの台詞だな。都合が悪い事は、すぐにテロで片付ける」

ストーンコールドは嘲笑した。

「戦時中は利用するだけ利用し、平和になれば俺のような優秀な兵士をお払い箱にする…これは世直しだよ」

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