勘違いも捨てたもんじゃない
とんだ災難だったが少し話が出来た。誤解したことを何度も謝ってくれた。悪いのは俺なんだが。
純粋そうで素直で、信頼のおけそうな女性だった。きりっとした、どちらかと言えば中性的な顔立ちで…凄く好みの顔だった。これっきりにしたく無いと思った。
……俺の事はどう映ったのだろう。なるべく敬語を使って丁寧に話したつもりだったが、…どうなんだか。偶々とはいえ、この風体だし…威圧的だったかも知れない。
明日、上手く会えるだろうか。
「武蔵〜、武蔵〜」
「…はい」
「明日も起こしてくれよ、絶っ対」
「…畏まりました」
も、ってな。念押ししなくてもいつも起こしてるだろ。
「絶対だぞ」
「…解ってるって。大丈夫だ。だから寝ろ」
俺の運命がかかってるんだからな。
「間に合わなかったら、殺す」
「起こして、あと、間に合うか間に合わないかはご自分の問題です。こっちはいつも通りに起こすだけですから」
「解ってる、頼んだぞ」
…だから。はぁ、全く…。畏まりました、と言ってるじゃないか、本当に、心配性が…。こんだけ必死なのは、…やっぱり女関連に違いない。じゃないと、これだけの情熱は…他ではそうそう無いからな。どれだけのモノか、明日、確かめて見るか…。
一つの事に夢中になると、他は目に入らない質だから、跡をつけたところで、俺に気がつきはしないだろう。…よし。
久しぶりだな浩雅のこんな感じ。俺も何だか…俄然わくわくして来たぞ。…ガキか。
「では、おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」