勘違いも捨てたもんじゃない
帰ったら俺の携帯にも着信あるのかな。…浩雅の着信が真希からのものと決めつけて…これは明らかに勝手な嫉妬だな。
ふぅ…。鳴っているのは解っていたが…。
【慢性的な疲労も立派な病気です。微熱もきっとそのせいです。…医者じゃありませんけど。
大きな病気になる前に、ただのお節介に過ぎませんが、身体、休めてください】
…んん。武蔵に連絡して当然か…。俺に関わる事は二人にとってまずい事だからな。だけど、こうして、冷たく突き放しきれ無い事が、後々命取りになるという事、解っていないようだな。優しさや思いやりは時に罪つくりだ。そんなモノは誰にでもするものでは無い。人に何と思われようと、好きな相手にだけすればいい事だ。それ以外は非情なくらいでいい…。そうでなければ嫉妬で身が持たない。
部屋から俺を帰す事はできても、これでは意味が無い。そんな事をしているんだぞ。だからと関連付けてはいけないが、セクハラに遭った事、痴漢され続けていた事、強く拒絶できなかったのは、ただ気が弱いだけなのか。許していいものではない。優柔不断…、でもあるのかな。優しいと言えば優しい、…だから決められない。だから優柔不断だ。だから押されたら弱いんだな。武蔵にも…、圧倒的な男の魅力、勢いに押されたか…。んん…。取り敢えず…言われたように休むとしよう。眠れなくても横になるだけでも違うみたいだから。
【来てくれて有難うございました。それから、ごめんなさい。安住さんの言葉を上手く読み切れなくて、翻弄されてしまいました。ごめんなさい。寒いとか言われて心配になって。ごめんなさい。疲れている事は確かだと思います。うちに来た時、本当にぐったりしていて。少しでも休んだ方がいいと思って】
…、か。…こんなにごめんなさいばかりを言わせてしまって…。心配してした事は仕方ないさ。そうさせるようにしたのは浩雅なんだし。
実際本当に具合は悪いんだし。真希は、…優しいから、流され易い…。
もっとじっくりお互いの本質を知り合うべきだな。時間が無くても、時間をかけて。…焦り過ぎた。衝動に勝てなかった。だけど、ただタイプだからシたかっただけじゃないだろ?逃したくないと思ったのはそれだけじゃ無いはずなんだ。もっと大事に考えないと。会えるときには会って、話したいこと話さなきゃ…。全然できてない。駄目な方ばかりが際立って…。はぁ…。葛藤ばかりで俺は全然できてない。