勘違いも捨てたもんじゃない
俺と浩雅…、若は幼なじみだ。
浩雅はでかい家の坊ちゃんで、俺は普通の家の子。小さい頃、ちょっと年上のお兄ちゃん、浩雅と何だか気が合って遊ぶようになった。
度合いの違いはあるが、二人共、親が忙しくて構って貰っていない…同じ境遇と言えば同じだった。
浩雅は学校では敬遠される事が多く、俺以外、友達らしい友達は作らなかった。ま、俺は相手が誰であろうと、分け隔ててつき合うのは嫌いだったから。そういう意味では、坊ちゃんの浩雅に特に遠慮はしなかった。喧嘩もしたし、結果、当然怪我もさせた。だからと言ってつき合いを止めさせられたことはなかった。随分長いつき合いになっている。
今の俺は秘書と言う肩書きではあるが、護衛でもあり、オールマイティに身の回りの世話までする…雑用係みたいなもんだ。つかず離れず一緒に居るもんだから…良からぬ噂もある。浩雅も俺も独身だから仕方ないのか…?
浩雅はどうだか知らないが、俺はもう彼女だとか結婚だとか、もういいかと思っている。…ちゃんとするには責任が必要だから。俺はいい加減が丁度いい。特に不自由している事も無い。適当だ。
だが浩雅はずっと独身でいる訳にはいかない。
政略結婚であろうと、いつかはしない訳にはいかないだろう。程々に遊ぶのもいいが、いつかは結婚を考えないといけない。いや、いつかなんて、いつまで言ってられるかな。もう…決して若いとは言えない。年齢的には落ち着いた。その気は無くても、お見合い話もひっきりなしだしな。
そう考えると、窮屈な環境に生まれた事、つまらなく思いたくなる気持ちも解らなくはない。
世間は浩雅の事を羨ましい環境だと言うだろうが。