勘違いも捨てたもんじゃない

「武蔵さん、私…嬉しくて、だから」

じっと見つめ合っていた。

「…真希。人をこれほど恋しいと思うとは思わなかった。解り合うには会う事や話をしたりする事が大事だけど。もっと根本、…会わないでいる事で真希が…とにかく真希が恋しくて堪らなかった。これもただシたいと求めているだけなのか…真希…」

ん…。優しい口づけ。だけど。

「…教えてくれ」

あ、んん…。もっと優しくて…甘い。

「はぁぁ…真希…」

抱きしめられた。

「私、話したい事があるの。聞きたい事もあるの。でも…眠い、…武蔵さん。早く誕生日おめでとうって言いたかったの。…プレゼントもあるの」

「フ。眠るのか、話すのか、どっちなんだ」

「武蔵さんの中、あったかい…、安心した…から…」

「ああ、…俺もあったかい。よし、取り敢えずベッドだ。寝よう」

「あ、明日まで居られる?朝は?黙って帰らないで?用ができたとか、早く起きて帰らないといけないなら絶対起こして?」

「大丈夫だ。明日はゆっくりできるから。安心して寝ていい」

「本当に?」

「ああ」


抱き上げて運ばれる途中。

「あ。あのリボンの箱、プレゼントなの」

置いてある場所に連れて行ってくれたから、手を伸ばして取った。

「有難う」

「後で開けて?使えたら使って?」

「うん、有難う。取り敢えずここに…」

お腹の上に置くように言われた。


ベッドに下ろされた。

「ちょっとシャワーだけいいか?」

「はい、使ってください」

「あー、…いや。行って来る」

「はい」

…着替えが無いから、全裸で出て来るって言おうとしたのかな。ここには武蔵さんの物は何もない。実はパンツは買ってある。パジャマ代わりになるルームウエアも。あるから後で着ればいい。きっとバスタオルを腰に巻いて出て来るに違いないから。ベッドの上に置いておいた。

私は何だか、布団の温もりで眠くなって来た。
やっと会えた…起きていたいのに…。


「真希…。あのさぁ、裸で寝ていいか?」

…ん?もう眠ったのか。

「真希?フ、眠ってるのか。……あ、これって…」

真希…、有難う、パンツだけ穿くぞ。ルームウエアは起きたら着るから。…おやすみ。
明かりを消して横になり真希を抱きしめた。
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