勘違いも捨てたもんじゃない
「…逆恨みされるかもしれないが…」
こんな話、こんな日に、このタイミングで何も考えずに話してしまった私は…馬鹿です。
何も考えなかった訳では無いかも。遅くなっても、話しておきたかったのは確かだし。秘密にはしたくなかった。今日、会ったから…。今更でも言っておきたかったから。
でもこんな話の後、…当然、続けられるはずも無く。誕生日なのに…来てくれたのに…武蔵さんに対して配慮が足りなかった。自分の中ではとうに消化されていた事だから、構わないと思ってしまったんだ。
「武蔵さん、私、本当に、過ぎてしまった事だと思って…大丈夫だと思ってるし、もう何でもないの。恐かったのは確かだし、思い出せば、腹も立つの。だけど、本当に大丈夫だから」
…。
「…大丈夫って言うなら、もう聞かない。だけど…」
横から抱き寄せられた。
「…今日はデキナイぞ…」
…やっぱり…ごめんなさい…。
「………触られたんじゃないのか?何か…妙なことを言われたんじゃないのか…大丈夫なのか?…悪い、聞いてるな」
俺はその時を知らない。真希がどんな状態だったのか……。だから、大丈夫の言葉で包み込まれたモノが解らない。
「触れられたのはちょっとだけ…唇が胸元に。…それだけ。本当にそれだけ」
「はぁぁ、…真希…。心臓が潰れそうだ。そいつはどこに住んでるんだ。…解らないか。警察より俺が落し前をつけに行く。どんな顔をしてるんだ、年格好は…」
「武蔵さん…」
…ん、ん。
「…真希、…」
私から口づけた。本当はこんな事、恥ずかしい。だけど、大丈夫だって伝えたい。殺さないにしても本当に制裁を加えに行ってしまいそうだもの。
「そんな事したら犯罪者になってしまいます。…あんな人のせいで武蔵さんの人生、台無しにして欲しくない。私なら本当に大丈夫ですから。…顔も名前も、教えませんよ、武蔵さんが警察に捕まってしまうから」
…ん、んん。…真希、…ん。更に唇を重ね、食んだ。
「…武蔵さんの気持ちなんて知らない。そんなのは考えない。会えたのに、今日、話した私が悪いんです…」
ん、…。
「ん、ぉ…おい、…真、希…」
「できないって言うなら…私がします」
…真希。
「あ゙ー、もう。自分から何もできないくせに」
…。
「…そうだけど、それでもします。して欲しいから」
ん、ん…。
「…真希」
裸の身体の上に乗せられた。
「解った。ほら、好きにしていいぞ」
…あ。