勘違いも捨てたもんじゃない

……戸惑ってなんか居られない。意を決した。…でも恥ずかしい。口づけながら、唇を移動させていった。武蔵さん…耳が弱いかも。少し甘噛みして口づけ、首に移動してみた。身体をずらしながら鎖骨の辺りへと進めた。更に下へ移っていると、広げたままだった武蔵さんの腕が腰に回された。身体を引き上げられて、顔を包まれた。

「…真希…無理しなくていい…」

見つめられるとドキドキする。ん、…。 唇を奪われた。頭を押さえられ、ゆっくり下にされた…。

「はぁ…、できないなんて無理になった…。いいのか?しても。俺のために無理してるんじゃないのか……大丈夫なのか?」

「はい…全然恐くないから大丈夫」

ん、ん…。何度も口づけをする。顔を包まれ見つめられた。ゆっくりとまた唇が触れた…。
…はぁ。武蔵さんに触れられるとこれだけでもう身体が熱い…。

「…ごめんな真希。…有難う…はぁ。まさか、真希が誘惑してくるとは思わなかった」

「だって…」

「うん…解ってる。…真希…」

気持ちが伝わらなくて、上手くいかない時だってある。絶対的な形とはまだ程遠い、まだ俺らはそんな関係性だ…。……。


「何もないけどケーキは買ってあるの。あとは、ちょっとしたオードブル?」

「いいのに…」

「ロウソクね、数字の3と5なの。吹き消すだけはしよう?」

「嫌だ…こっぱずかしいだろ」

「嫌だって…えー、私もしたでしょ?別に写真を撮るなんて言ってないんだし、ね?」

「フ、解ったよ、後でな」

頭の後ろを掻いている。

「フフフ、照れてる?」

「そんなに言うなら、しないからな」

「嘘、嘘です」

「…指輪…、してないんだな…」

手を握って顔の近くに持って行かれた。唇が指に触れた。

「ごめんなさい。して、見てると寂しくなっちゃって。気持ちのバランスがよく解らなくて…最近は引き出しにしまってるの」

「そうか」

「ごめんなさい」

今日はしておくべきだった…。

「…いいや。しようがしまいが持ち主は真希だから。真希次第でいいんじゃないのか?」

そうか、寂しいから、見ないようにしまったか…。思い方、感情は人それぞれなんだな…。
ずっと見ていたら辛いからって事か…。メソメソしない為か。それならいいんだ、それなら。
…浩雅とは会ってたようだが、俺には連絡はしないと決めていたから、そのことさえも一々言って来なかったんだな。そう思う事にする。
会えなくて寂しい気持ちを浩雅と居る事で埋められていた…訳じゃないよな?
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