勘違いも捨てたもんじゃない

誕生日と年齢だけをメールした。質問される項目でもないと、自分から色々とは思いつかない。

【解ったけど、欲しい物とか、好きな物を教えてくれ】

…欲しい物…は。

【欲しい物は、二人で居られる時間。好きなモノは、武蔵 猛。どう?百点の答えでしょ?】

【百点満点の答えだ。馬鹿、会いたくなるだろうが】

わ、ドキ…はぁ、…甘い。甘いです猛君。私だって同じ…。

【物だ、物。欲しい物は無いのか?誕生日、何が欲しい?要らない物は貰っても困るだろ?】

…無理を承知で。

【一時間でもいいから、猛君が自由にできる時間をください。それだけでいいです】

真面目だけど、全部真面目な気持ちでは言えない。

【約束はできない】

ですよね。それでも…。

【期待はしないけど、期待してる。他は何も要らないです】

【文章が成立して無い。じゃあ、何も無しだ】

…期待はしない。でも期待してる。

【今、家に居るの?】

【そうだ。自宅待機みたいなもんだな】

部屋に居るのに…。

【行っちゃ駄目?】

【駄目だ】

なんだ…、やっぱり駄目か。一緒に居て、まったりとか、それだけでも駄目かな…。

【駄目に決まってる。一緒に居たら咄嗟に備えられなくなるだろ、危険だ。色々察しろ】

は、…。え?危険?あ、…そういう事?…。…。

【家は、うちから近い?】

【探るな】

んー。

【マンション?実家?それとも社長さんの家の一室に?】

【教えない】

全然解んないんだし、…行ったりできないんだし…。

【全くのオフ日って無いのですか?】

しつこいのは解ってるけど、敢えて、ね?

【無い。別に欲しいと思わなかったし】

じゃあ、欲しいって言えば、休み、作ってくれるんじゃないかな。

【言ってみるのは駄目なの?】

【今更だな。それに今だと、変に勘繰られてしまうから余計無理だな】

…そうか。何でも無い時に休み作っておけば良かったのに…。そんなに仲良しって感じではなさそうなのに。仕事と捉えるといつ何時も傍にって、もう昔から変わらないからなのね。

【無理だぞ】

あ、…念押しされてしまった。…解りました。…メールだからメールしたけど。電話にしておけば良かった…。
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