勘違いも捨てたもんじゃない
あ、武蔵さんからだ。…もう行くなよ、とかは無いのね。行かないのは当たり前か…。今日、会って話せる訳じゃ無いから、これが全てよね。
【また今日みたいに突然誘うって言われました。でも誘ったからって、別に来なくてもいいって。だけど、そうする事で、武蔵さんが自由にできる時間が作れるって。一人の時間、無いよりたまにはあった方がいいでしょ?私はね、ご飯だけのつき合いみたいだから、だから大丈夫、行っても】
俺を引き合いにすれば真希は来るかも知れない、ってか。真希の気持ちを巧みにコントロールして…。ご飯だけ?甘いよ…そんなのは今だけだって解らないのか。解ってるよな?気がない相手を誘い続けるはずはないって。俺の時間ができるとか、関係ないし。
【行かなくていい。行くなって言ったら行かないのか?】
【はい】
…はぁ。
【だったら行かなくていい。俺の一人の時間があるか無いかなんてどうでもいいから。そんなものを真希に作って貰わなくていい。いつまでもご飯だけで済むと思うな。俺の時間より自分の身を案じろ。世の中に安全な男なんて居ないと思わないと駄目だ。どんなに大人しそうに見えている男でもだ。どんな男も雄だ。考えていることはみんな同じだ。俺は今日の事、社長から急用としか聞いて無いから】
【解かりました。おやすみなさい】
【おやすみ】
はぁ、やっぱり私達は変な関係性になってしまったみたい。社長さんは武蔵さんが言うように変わっていくのかな。人として紳士な人だと思っているけど、今後は警戒しておかないといけないって事なのよね。連絡が来ても行かない。行かなくてもいいって言った。
武蔵さん…今夜はもう来ないよね…。おやすみってメール来たし。こんな日は傍に居たい…居て欲しいと思ってしまう。