Over again
2
『ただいまー!!!』
森で取ってきた木の実や果物、摘んだ花をカゴいっぱいに入れて四人の子供達とメイドは城に到着。そこでは母親達がお茶をしている。
「おかえりなさい」
「お母様!見て!林檎!」
「あなたまたメイドを困らせたりしていないでしょうね?林檎なんか近くにはないでしょ?」
「えっ。いやーそのー。あったの!近くにあったの!」
「もーっ。シャルロったら!」
「あははっ。きゃあっ。やめてお母様っ。くすぐったっあはははっ」
シャルロが母親にくすぐられている。その横でミリーも母親にくすぐられている。メイドとガレスはそれを見て大笑い。しかしクロエだけはいつものように仏頂面でつまらなそうにその光景を見ていた。
「あ、ねぇ!お母様!もう少し遊んできてもいい?」
「いいけど、絶対に遠くへ行ってはいけませんよ?」
「はぁーい!クロエ行こっ!」
「えっちょっと」
「僕達も行こう!!」
「うん!」
四人は庭の方へ走り出す。
「ねぇ、花壇に行こうよ!」
「いいけど…」
城の裏側には花畑と言ってもいいくらい大きい花壇がある。そこには赤、青、黄の薔薇が咲いている。これはディラン家とホープ家が去年の建国記念日に作らせた花壇であった。
花壇ができてから子供達にとってここは遊び場だった。追いかけっこをしたり、隠れんぼをしたり。でもこの日、シャルロは追いかけっこをせずクロエと二人で花壇の前に座っていた。
「ねぇそれとっていいの?」
「大丈夫よ!お父様もこの前取っていたもの」
シャルロは沢山ある薔薇の中から各色三本づつ摘んだ。棘が無いように品種改良されているはずだったが、シャルロが最後に取ろうとした赤い薔薇にだけ棘があった。その棘はシャルロに刺さった。
「痛っ」
「大丈夫?」
「うん大丈夫」
「ちょっと待って」
クロエは自分のポシェットの中から包帯を出し。シャルロの指に巻いた。
「はい」
「ありがとう!クロエ!」
「いいえ」
クロエがポシェットの中を整頓し、持っていたチョコレートの数を数えている間にシャルロはその摘んだ薔薇を器用に繋げ一つの輪っかにした。
「リース?」
「ううん。はいっ!」
シャルロは作った花冠をクロエの頭に乗せた。
「包帯のお返し!」
「綺麗…」
「でしょ?お母様に教えてもらったのよ!」
「ありがとう」
「どういたしまして!」
「おーい!隠れんぼしよーぜー!」
「ちょっと待ってミリー!クロエ行こっ!」
走り出そうとするシャルロの腕をクロエが掴む。クロエは俯いている。
「どうしたの?具合でも悪い?」
「ううん。なんでもないの。でも、なにか悪い予感がしてしまって…」
「悪い予感?」
「そう。」
「確かに空色は悪いけど…」
気づけば空には灰色の雲がかかっていた。しばらく二人の間では冷たい風が吹いていた。
「私達ずっと家族でいられるよね?」
「え?」
唐突にクロエから出された質問の意味がまだ10歳のシャルロにはわからなかった。
「いや、なんでもないの。ちょっと疲れてるのかもしれないわ」
「大丈夫?もうそろそろ帰ろっか」
「うん」
二人が城に戻った後の花壇には、赤い薔薇の棘にシャルロの血が残ったままだった。
『ただいまー!!!』
森で取ってきた木の実や果物、摘んだ花をカゴいっぱいに入れて四人の子供達とメイドは城に到着。そこでは母親達がお茶をしている。
「おかえりなさい」
「お母様!見て!林檎!」
「あなたまたメイドを困らせたりしていないでしょうね?林檎なんか近くにはないでしょ?」
「えっ。いやーそのー。あったの!近くにあったの!」
「もーっ。シャルロったら!」
「あははっ。きゃあっ。やめてお母様っ。くすぐったっあはははっ」
シャルロが母親にくすぐられている。その横でミリーも母親にくすぐられている。メイドとガレスはそれを見て大笑い。しかしクロエだけはいつものように仏頂面でつまらなそうにその光景を見ていた。
「あ、ねぇ!お母様!もう少し遊んできてもいい?」
「いいけど、絶対に遠くへ行ってはいけませんよ?」
「はぁーい!クロエ行こっ!」
「えっちょっと」
「僕達も行こう!!」
「うん!」
四人は庭の方へ走り出す。
「ねぇ、花壇に行こうよ!」
「いいけど…」
城の裏側には花畑と言ってもいいくらい大きい花壇がある。そこには赤、青、黄の薔薇が咲いている。これはディラン家とホープ家が去年の建国記念日に作らせた花壇であった。
花壇ができてから子供達にとってここは遊び場だった。追いかけっこをしたり、隠れんぼをしたり。でもこの日、シャルロは追いかけっこをせずクロエと二人で花壇の前に座っていた。
「ねぇそれとっていいの?」
「大丈夫よ!お父様もこの前取っていたもの」
シャルロは沢山ある薔薇の中から各色三本づつ摘んだ。棘が無いように品種改良されているはずだったが、シャルロが最後に取ろうとした赤い薔薇にだけ棘があった。その棘はシャルロに刺さった。
「痛っ」
「大丈夫?」
「うん大丈夫」
「ちょっと待って」
クロエは自分のポシェットの中から包帯を出し。シャルロの指に巻いた。
「はい」
「ありがとう!クロエ!」
「いいえ」
クロエがポシェットの中を整頓し、持っていたチョコレートの数を数えている間にシャルロはその摘んだ薔薇を器用に繋げ一つの輪っかにした。
「リース?」
「ううん。はいっ!」
シャルロは作った花冠をクロエの頭に乗せた。
「包帯のお返し!」
「綺麗…」
「でしょ?お母様に教えてもらったのよ!」
「ありがとう」
「どういたしまして!」
「おーい!隠れんぼしよーぜー!」
「ちょっと待ってミリー!クロエ行こっ!」
走り出そうとするシャルロの腕をクロエが掴む。クロエは俯いている。
「どうしたの?具合でも悪い?」
「ううん。なんでもないの。でも、なにか悪い予感がしてしまって…」
「悪い予感?」
「そう。」
「確かに空色は悪いけど…」
気づけば空には灰色の雲がかかっていた。しばらく二人の間では冷たい風が吹いていた。
「私達ずっと家族でいられるよね?」
「え?」
唐突にクロエから出された質問の意味がまだ10歳のシャルロにはわからなかった。
「いや、なんでもないの。ちょっと疲れてるのかもしれないわ」
「大丈夫?もうそろそろ帰ろっか」
「うん」
二人が城に戻った後の花壇には、赤い薔薇の棘にシャルロの血が残ったままだった。