ふたりで

と言うものの、今度は、こーちゃんとなかなか会えずにいた。あんなに、毎日見かけていたのに、おかしい。
早く、こーちゃんに気持ちを伝えて、すっきりしたいのに。
まるで、こーちゃんとの再会が夢だったようにも思える位、私は気持ちが落ち込んでしまっていた。


幸も、こーちゃんにまだ会えないのかと、心配そうに聞いてくれるが、私にはどうしようもない。


5月も半ばにさしかかる、ある日。やっとこーちゃんを見つけた。案の定、3人で歩いていたが、こーちゃん以外のふたりにはかまっていられない。

「こーちゃん!」
と、私は、呼び掛けながら彼らのもとに、近づいていった。

「真愛、久しぶりだね。」

こーちゃんは、会えなかったことを、気にする様子もなく、平然と私に笑い掛けてきた。

私は、私だけが焦っていたみたいで、釈然としなかったが、ここで怒っても仕方がないので、頭一つ高いこーちゃんを見上げ、
「話があるの。時間、取れない?」
と、聞いた。

こーちゃんは、
「今日の放課後なら。真愛は、何時におわるの?」
「私は、4時半には終るよ。」
と答えると、

「じゃあ、終わったら正門前で待ち合わせでいい?」

「わかった。」
と約束をして、お互いの教室に向かった。
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