ふたりで
それは、偶然にも、俺の近くで起こった。
急に、教授の都合で、3限目(午後の始めの授業)が休講になった。
俺は、次の授業まで、図書館に居ることにした。図書館は、教育学部校舎の近くに建っている。近道のつもりで校舎裏を通りかかると、女子の争うような声がしてきた。
関わりたくないなと、思いながら遠目にそちらを見ると、三人の派手な服装の女子に囲まれた真愛がいた。
近づいていくと、どうやら俺とどういう関係か聞かれていた。
真愛が幼なじみだと答えると、一人の女子が、「ただの幼なじみなら、あまり親しくしないでよ。きっと彼のほうも、迷惑しているはずよ。」
次はもう一人の女子が、
「そうよ。麗奈さんが、今アタックしているんだから、邪魔しないでよ。わかった?」
と、勝手なことを言い始めた。黙っている髪の長い人が麗奈さんなのだろう。
おいおい、一体なんの権利があってそんな事を言っているんだ。しかし、俺が見つけて、よかった。知らない所だったらと思うと、恐ろしくなる。
「おい! 何を言っているんだ。君たちは、俺とどういう関係なわけ? 」
と、俺は真愛を背中に隠して、大きな声で、怖い表情をして、彼女達を睨んだ。
突然の俺の登場に、彼女達は、びっくりして、ワタワタし始めた。
「いえ、これはですね。この人が、幼なじみだと言うだけで、芝宮君にべたべたしてるから、忠告した方がいいかと、思ってですね。」
と、しどろもどろ、訴えてくる。