ふたりで

こーちゃんは、郵便局の小包配達のバイトを始めた。暑い中、ほとんど外仕事なので、体力と健康が心配になってくる。

心配した母親が、3日ごとに、夕飯に誘う。
父親も母親も、そして、当人のこーちゃんが喜んでいるから、いいかあ。

こーちゃんは、夕方やってくると、お風呂に入り、料理を覚えたいと、なんと母親の手伝いをする。お陰で、こーちゃんの株は、ますます上がった。
私は、と言うと、例のごとく『見習え』と言う両親からのお達しがあるのだ。

そして、両親は、『いい男を捕まえた』と手放しで喜んでいる。そう、きっとこーちゃんは、よい旦那様になるだろうな。私の夫になるかどうかはわからないが。



そんな楽しい毎日に、やはり嵐はやってきた。

以前から気になりつつ、聞けずにいた奈津美さんが、ここS市にやってきた。当然、津山さんが呼んだらしい。

「真愛、誤解される前に言っておくけど。実は、高校時代の友達が、こっちに遊びにきている。」
と、こーちゃんは、話し出した。

「友達?」

「正確には、啓太の彼女の友達だけど、以前からどうやら俺と付き合いたかったみたいだ。前に、津山から言われたけど、一度断っている。でも、今夜食事だけでもと言われて。本当は、行きたくないけど、啓太の手前もあるから、食事だけ行ってくるよ。」
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