ふたりで

「これ、カフェオレのお金、430円ね。」
と、彼に差し出した。

「いいよ。再会の記念。」
と、彼は、受け取らない。

「そういうわけに、いかないから。私ね、たとえ彼氏でも、割り勘が主義だから。」
と、彼の手を取って、無理矢理握らせた。


「ところで、ヒントは?」
と、話題を変えて、彼に問いただす。
「早急だな。あわて者は損をするぞ。まずは、カフェオレ飲めば。」


そう言われて、落ち着くためにカフェオレを一口飲んだ。値段まで覚えているお気に入りのカフェオレは、いつもの味がして、だんだんと
気持ちも、楽になってきた。


「で、少しは思い出した?」
と、彼の方から、言われてしまった。
「全く、だめ!」
と、私は、降参の意味で、両手を上に挙げた。

「ヒントなんて言ってないで、いつ会ったのか、教えてよ。意地悪しないで。」
と、上目遣いで、彼を見つめると、

「だめだ!自力で、思い出してもらおう。」
と、きっとブラックだろうコーヒーを飲みながら、彼は答えた。


「わかりました! 一つ目のヒントは?」
と、聞くと、
「幼稚園から小学校時代。」
と、彼が教えてくれた。と同時に、

「何やってるの?芝宮」
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