ふたりで
残りの夏休み*****
ふたりの道
お盆過ぎの8月18、19日と、こーちゃんと母親と3人で、F市に向かった。
こーちゃんの家に着くと、母たちは、10年も会っていなかったとは思えないくらい、馴染んでおしゃべりに夢中だ。これが、友達と言うものなんだろう。
私は、こーちゃんの部屋に連れていかれた。部屋は、こーちゃんが毎日使っていたように、整えられていた。さすが母の愛情だと、感動を覚えた。
私の知らないこーちゃんの時間が、そこにはあった。壁には、きっと有名だろうと思われるサッカー選手のポスターが陣取っていた。
「こーちゃんは、プロサッカー選手は目指してなかったの?」
と聞くと、
「そこまでは、考えてなかったなあ。それより、やりたいことがあったから。」
「それは、何か、聞いてもいい?」
「叶うかどうかわからないけど、IT関係の仕事につきたいと思ってる。真愛はやっぱり先生になるの?」
「なれればね。でも、狭き門らしいから。」
その頃は、こーちゃんとふたりでいられるだろうか?
目の前しか見えてなかったふたりの未来への道が、もう少し先まで伸びた気がした。
「あと、3年半も大学があるのかあ。先は、長いな。」
とこーちゃんが、ため息まじりに言う。
「そうだね。その間には、いろんなことがあるだろうね。」
と言う私の顔にこーちゃんの顔が近づき、あっと思ったら、唇のやわらかさを感じていた。2度目のキスだった。
私のキスは、先日のこーちゃんとのキスがファ
ーストキスだ。その時も感じたが、唇って思ったよりもずっとやわらかかった。
その夜の夕食は、和食のレストランに行った。もちろん予想通り、私たちが幼かった頃の話題で盛り上がった。