ふたりで

小さな嵐


夏休みもあと3日を残すだけとなった。久しぶりに、幸とショッピングに来ていた。
靴を見ていた時、津山さんと出会ってしまった。
イヤだなあと、思っていると、津山さんの方から話しかけてきた。

「芝宮君の幼なじみの方ですよね?もし、時間があれば、少しお話できません?」

幸の目を見ると、頷いてOKだと言うから、
「少しなら。」
と答えた。

私たちは、同じショッピングモールのコーヒーショップに入った。

私が、
「津山さんのことは、芝宮君から聞いてます。友達の啓太君の彼女さんだと。」



『知っているよ』という私の態度が気に入らないと見えて、一瞬、攻撃的な目を向けてきた津山さん。

「そうなんだ。じゃあ、もちろん芝宮君の彼女のことも、聞いてますよね。」
と断言するように、聞いてきた。


ああ、そうなんだ。この人は、私のことが邪魔なんだ。だから、私を牽制しようとして、誘ったのだ。

「芝宮君は、彼女はいないと言ってましたが、本当にその人は彼女なんですか? 今夜、彼と会う予定があるから、一緒に確認してみますか?」
と、私も、早口で、少し苛立つように言っていた。

そういう私を見て、あわてたように津山さんが、
「高校の卒業の時には、ふたりともいい雰囲気で、付き合う方向で進んでいたのよ。なのに、急にあなたが現れて、芝宮は、あなたばかり。幼なじみっていうだけで、芝宮を取らないでやってよ。奈津美はずっと芝宮が好きなの。」
と、私に訴えてくる。

私も奈津美さんという人のことは、気になっていたが、この間のこーちゃんの話を信じたい。

< 45 / 90 >

この作品をシェア

pagetop