ふたりで
美術館は、平日の昼間だからか、とても空いていて、ゆっくりと絵画を堪能することができた。これって、学生の特権かも。
気にいった絵画の印刷された壁掛けを、記念に買った。一応、こーちゃんの部屋に飾ることにした。
そう言えば、こーちゃんは、以前から、余り私を部屋に連れて行かない。我が家に来る方が断然多い。
よく、彼の部屋で、何か料理してふたりで食べると言うシチュエーションを聞くが、こーちゃんは、そうじゃないのかな。
午後3時には、帰ってきたので、壁掛けを飾りに部屋に行くついでに、
「たまには、こーちゃんの部屋で、夕飯何か作ろうか。お母さんみたいに、上手じゃないけど」
と、こーちゃんに言ってみた。
こーちゃんは、
「今日は出かけて、真愛も疲れてるから、いいよ。これを飾ったら、送ってくな。また今度作って。」
と私を気遣いながら、やんわりと断った。
私は、何故か拒否されたようで、すごく寂しく感じて、
「どうして、彼女なのに、こーちゃんの部屋で過ごすのを嫌がるの?」
こーちゃんを責めるように言ってしまった。
こーちゃんは、困った顔をして、照れくさそうに、
「ふたりきりだと、キス以上のことをしてしまうかもしれないだろ。俺、真愛を目の前にして、我慢する自信ないよ。」