ふたりで

そして、今日は、水族館。
言うに及ばず、平日なのに、混んでいた。小学校の校外学習だろう。デートのカップルも、結構見かけた。

イルカショーや、オットセイの芸が、見ごたえがあった。

最後は、やはりお土産売場だ。こーちゃんと一緒にいたはずなのに、いつの間にかこーちゃんと離れてしまった。

背が高いから探しやすい。でも、知らない女の人といた。ふわりとした雰囲気の美しい人。すごく大人っぽい。きっと歳上。

私は躊躇いがちに近づき、
「こーちゃん。知っている人?」

すると、こーちゃんは、
「高校の先輩。」
と、私から目をそらして言った。


「はじめまして。高岡みちるです。」
と、挨拶された。

「あっ、はじめまして。橋本真愛です。」

「芝宮君の彼女?」
と、聞いてくる。

「そうだけど。」
こーちゃんの態度が、変だ。

「かわいいわね。彼に、愛されている?」
と、意味深なことを聞いてくる。

「???」
意味が読めず、何と答えていいのか、キョトンとした私に、高岡さんは、爆弾を落とした。

「彼、上手でしょ。私が教えたのよ。」

「えっ?」
と、私。
「何、馬鹿なこと言ってるんだよ!」
こーちゃんが、怒って高岡さんをにらんだ。

そして、私の手を掴むと、その場を急ぎ足で、立ち去ろうとする。

そのこーちゃんの背中に、
「またね!」
と、楽しそうに高岡さんが、声をかけてきた。
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