ふたりで
あの後、ふたりで黙って駅まで歩き、電車に乗っても口を閉じたまま、家の前に着いても、どうしたらよいか、全く動けなかった。
このまま立っているわけにも、いかないだろう。
ようやく、こーちゃんが、口を開いた。
「真愛、嫌な思いをさせて、申し訳ない。言い訳するつもりじゃないけど、過去のことだから。すっかり忘れていたことだ。聞きたい事があれば、包み隠さず、何でも話すから。」
私は、こーちゃんの顔を見ずに、
「過去の事だよね。」
と、自分にも言い聞かすつもりで、答えた。
「真愛と再会するずっと前だ。」
「私と再会するずっと前ね。」
私は、こーちゃんの言う事を繰り返すのが、やっとだった。
ただ、衝撃が強すぎて、すぐには消化できなかった。思考が、ストップしてしまったいた。
「じゃあ、また、連絡するから。」
こーちゃんは、帰って行った。
こーちゃんがいなくなっても、私は動くことができなかった。