ふたりで

俺の思い5


「最低だな!」
啓太が、ボソッと言う。

真愛を送ってから、俺は自分の気持ちを整理できずに、啓太の部屋を訪れていた。水族館での出来事を話したところだ。


「ああ、最悪だ!」
俺が大きな溜息とともに、言う。

「どうして、あそこで会うかな。それにあんな言い方されたら、何回もやったみたいじゃないか。」
と、俺が反論をする。


「おいおい、俺に文句を言っても、仕方ないだろ。ところで、いつから高岡先輩と、そういう仲になっていたんだ。俺は何も知らなかったぞ。」
啓太が聞いてくる。

「分かるわけないだろ。たった一回限りだ。」

「だって、高岡先輩、祐介先輩と付き合ってなかったか?」
納得いかないのか、啓太がまた聞いてくる。

「高2の冬休みだ。偶然、街中で出会って、高岡先輩涙ぐんでたんだ。祐介先輩が、大学に行って、好きな人ができたから、別れたいと、言われたって。話を聞いているうちに、慰めてほしいって言われて。」

「それで、慰めたって訳か。」
啓太が突っ込みを入れてくる。

「それ一回だけだ!その後、何回か誘われたけど、気持ちがないのに抱いたこと、後悔しか残らなかったから。」

「たった一回限りが、真愛ちゃんに通じるかな?」

「だよな。最低だよ、おれは。」

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