ふたりで
俺の思い1
思いもよらず、本屋で真愛と会った。
このチャンスを無駄にしてはいけない。
俺、芝宮幸大(しばみやこうだい)は、入学以来真愛を毎日見かけるが、なかなか接近できずにいた。俺のことをすっかり忘れている真愛に、多少怒りモードを感じつつ、近づいて声をかけた。
真愛は、本当に俺のことが、わからないらしい。こっちは、初恋なのになあ。
ヒントがほしいと言うから、コーヒーショップに誘ってみた。わりと素直に誘いにのってきた。おいおい、おまえには、警戒心はないのか?
今までの真愛が、心配になった。
話を始めて、これからと言う時に、邪魔が入った。津山さやかである。俺の親友である鈴木啓太の彼女だ。高校時代、啓太と俺は、サッカー部で、津山がマネージャーだった。
世話好きだが、他人の詮索までしてくる津山は、俺にとっては、うるさい存在だった。
と言うのも、津山の友達の瀬川奈津美が、俺に好意を持っており、何かと俺と瀬川をくっつけようとする。瀬川は、俺たちの住んでいたF市の短大に行ったので、離れてほっとしていたのだ。
それを、さも瀬川が俺の彼女のような言い方をして、真愛を牽制しようとするなんて、真愛が誤解したら、どうしてくれるんだ。