ふたりで
信じ合える?*****
新たな嵐
冬休み、こーちゃんは、再び郵便局のバイトを入れたので、年賀状の時期で猫の手も借りたいほど忙しく、暮れには、一泊で実家に帰っただけだ。
だから、お正月は、我が家で迎えた。
両親は、大喜びだ。
元旦は、ふたりで、初詣に行った。
もちろん、これからもずっとふたりでいられるように、お願いした。
お賽銭も私なりに奮発して、500円出した。5000円は、ちょっと厳しいかな。
穏やかなお正月で、このままいられたらよかったのに。
また、嵐が近づいてきていたのを、私たちは知るよしもなかった。
それは、来週にバレンタインデーを控えた土曜日、母とチョコレートを作った。こーちゃんにも届けておいでと母が言うので、少し早めだけど届けることにした。こーちゃんはバイトだから、夕方早めに行って夕飯を作ろうと、出掛けた。
部屋の合い鍵は、こーちゃんからの第2のプレゼントだった。
こーちゃんのアパートが、見えてきた時、アパートに入って行く男女がいた。
こーちゃんだった。
隣の女の子は、こーちゃんの腕にべったりとくっつき、ふたりは笑いながら話をして、アパートに吸い込まれるように消えて行った。
私は、ショックを受け、立ちつくす。
アパートの方へ渡ろうとした信号が変わったのにも気づかず、突然、クラクションが鳴らされた後、バイクが向かってくるのを最後に、意識がなくなった。