ふたりで
あの子の正体
勇気の出ない私に、
「もし別れることになっても、いいじゃない。女にだらしない男は、こっちからお断りだよ。そんなやつのために、自分の時間を使うだけ無駄だよ。私は、大切な真愛をそんな男にはあげたくないよ。さあ、こーちゃんのとこにいくよ。」
と幸は、私に、
「こーちゃんにメールして。『話があるから、幸とふたりで、部屋で待ってます』って。」
それから、ドーナツが食べたいと言う、幸のご希望通りにドーナツを買い、こーちゃんの部屋に二人で向かった。
部屋に着いたと同時にメールの返信があった。
『今、駅だから、後30分くらいで、帰るよ。』
部屋の中は、別段変わってはいなかった。
「あの子が、泊まっている様子は、なさそうね。」
と幸が、じっと部屋を見回す。テーブルの上には、こーちゃんの飲みかけのコーヒーカップがあるだけ。
それを片付けながら、コーヒーをいれる。
幸が、
「私がいなくても、話ができるなら、遠慮するけど。」
「ううん。一緒にいて。」
「わかった。」