ふたりで


真愛は、5日間も目を覚まさなかった。医者は、命に別状はないから、様子を診ていくとのこと。

しかし、両親も俺も、生きた心地がしなかった。

やっと、真愛が意識を取り戻した。安心したのもつかの間、真愛の俺に対する様子がおかしい。

俺が何かしたか?

思い当たるのは、結香と会ったことだ。

見られたか!

結香が俺に、兄に対するものではない感情を持ちつつあるのは、見てれば明白である。はっきりと拒否できればいいのだが、母さんとの今後の事を考えると、それも出来ずにいた。

そのために、真愛を傷つけているかもしれない。

事故の後、真愛に、結香のことを何度も話そうとしたが、真愛の方が避けているようで、言い出せずにいた。


後期試験を終え、春休みになってすぐ、また結香からメールがきた。

『幸大にいさん、高校に合格しました。何かお祝いしてほしいなあ。今S市に向かっています。10時頃着きます。都合が悪ければ、一人でぶらぶらして帰るから、心配しないでね。』

図々しいのか、相手の都合を考えず、行動するのはやめてくれ!と思わずにはいられない。

俺は、メールを無視することも考えたが、母親の顔が浮かんできて、仕方なく駅まで、迎えに行った。

今日は、何かお祝いに買ってやって、早々と帰そうと、思った。

案の定、腕にまとわりついてくる。心の中で、『このやろう!』と思いながら、早く帰ってくれることを願った。

今夜、悪いが、母親に連絡することを誓った。
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