ふたりで
俺は、兎に角、母さんに、事の成り行きを話しておくことにした。
母さんは、
「結香ちゃんが、幸大の所を訪ねて行ってるなんて、知らなかったわ。私の方からも、何気なく聞いてみて、本気にならないように話を持って行けるといいんだけど。個人的なことだから、微妙よね。」
「母さんは、結婚の意志が固まったの?」
「佐々木さんは、いい人だとは思うけど、夫婦としてやって行けるかどうか、母さんも自信がないの。もう少し考えさせて。でも、結香ちゃんとのことは、幸大の迷惑にならないようにしてくれて、構わないから。」
「わかった。母さんもこれからの人生を左右することだから、じっくり考えてくれよ。」
俺は、真愛の為にも、時間をかけたくなかったから、結香に会うために、F市に行くことにした。
駅で待ち合わせて、近くのファミレスに入った。
結香は、
「幸大にいさんから、連絡くれるなんて、うれしいな。」
と無邪気に喜んでいる。
これから、結香にとって嫌な話をするのが、躊躇うくらいだ。