ふたりで
まー君が連れて来てくれたのは、灯台のある岬公園だった。
パーキング近くには、新鮮な魚を、目の前で焼いて食べさせてくれるお店が、十数件並んで賑わっている。
「灯台から海を見よう。ずっと見渡せて気持ちいいんだ。」
まー君が、桜さんと手を繋いで、どんどん歩いていく。
「俺たちも、行こう。」
こーちゃんが、私に手を出してくる。私は、その手を取った。こーちゃんの手は大きくて、私の手をすっぽりと包みこんでいる。わたしは、温かい安心感を感じていた。
やっと、いつものふたりになれた気がした。
その後、まー君が美味しい魚定食をご馳走してくれた。
「実はさ、4月から転勤で、トロントに行くことになった。多分3年くらい。だから桜も一緒に連れて行く。夏に一時帰国するから、結婚式出てくれな。真愛もな。」
こーちゃんと私は、驚いて、お互いに顔を見合わせた。
「おめでとうございます。」
「兄貴、桜さん、おめでとう!」
嬉しいニュースだった。最近、沈みがちだった気分が、一気に浮上した。
きっと、こーちゃんから私たちの今の様子を聞いたまー君が、心配して今日ここに連れて来てくれたのだ。