ふたりで


「真愛、少し話がしたい。」

「うん、いいよ。」

「俺さ、今年の試験休みに、夏のバイト代使って、兄貴の所に行こうと思っている。日本から出て、世界の広さを感じたい。いずれは、世界を相手にする仕事がしたいんだ。来年は4年で、卒論があるから自由になる時間がなくなるし、今年がチャンスなんだ。」

「すごいね。どこまでも、夢が広がっていくんだね、こーちゃんは。」

「真愛も一緒に行かないか。兄貴の所に泊まらせてもらうから、ホテル代がかからないし。真愛の旅費くらいなら、俺が出せるからさ。」


「行きたいなあ。でも、まー君たち、そろそろ赤ちゃんが生まれるんじゃなかった。お邪魔じゃ、なあい?」


まー君たちは、私たちが2年の夏休みに結婚式をあげ、桜さんは、それはそれは綺麗な花嫁さんだった。

まー君と、美男美人だから、絵になる。

やはり、ウェディングドレスを見て、憧れてしまった。

私たちが3年となった今年、8月には赤ちゃんが生まれる。

「大丈夫。実は、兄貴の方から、トロントにいる間に、見聞を広げに来いと、言われたんだ。真愛も連れて。桜さんも、楽しみにしてくれてるってさ。赤ちゃんにも会いたいしさ。」


「じゃ、両親とも相談してみる。行けるいいなあ。」
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