手のひらを太陽に
「あー!虹恋じゃーん!!!!!ここで食ってんの?!」
遠くから、どう見てもチャラそうな
茶髪で世間一般的にいうとまぁイケメンな男の人が
右手を挙げて近づいて来るのが見えた。
どこかで見た事のある笑顔…
気のせいかしら?
誰かに似てる。
つい最近見たばかりの顔のような気がした……
ん?
『虹恋!!!!!』
私は自分でも驚くくらい大きな声で叫んでしまった事が
急に恥ずかしくなり、両手で口を抑えた。
そう。この人は、虹恋のお兄さんだった。
『海美、紹介するね!
お兄ちゃんの晴翔(はると)!3年生なんだよ!』
『あっ…どうも。虹恋と同じクラスの海美です。』
『知ってる。知ってる! 虹恋から色々聞いてるよ!』
笑った顔が虹恋と全く同じで、本当に瓜二つだった。
そういえば、その後ろにもう1人いる人は誰だろう?
全くこっちを見ないし、愛想も悪いみたいだし
何より、晴翔さんよりチャラチャラしている。
見た目が派手。目つきが怖い。
気になって、会話に集中できなくなっていた。
私の視線に気づいたのか、晴翔さんが彼を紹介した。
『あっ、こいつ、やっぱり気になるよね。
こいつは、俺の親友の中村太陽(なかむらたいよう)
中学からのダチで、いつも一緒につるんでるんだけど
誰に対しても愛想悪いから気にしないで。』
太陽さん…たいよう という名前とは
正反対の月という印象を私はいだいた。