夕星の下、僕らは嘘をつく
そういうところ嫌いじゃないよ。
 

ふと、そんなフレーズを思い出した。
一ノ瀬くんならぬ人見浪だ。

軽くて、軟派な台詞。
少女漫画でイケメンが言っていたってときめかないようなやつ。

他人に受け入れてもらうって、他人に必要としてもらうって、もしかしたら人生のうちにごく僅かしかないのかもしれない。
 

強く風が吹いた、気がした。

もちろん思い過ごしだ。
ここは部屋のなかで、エアコンはついているけれど、感じるほどの風はない。

それでも私は頬に風を受ける。
そして鴨居にかけていたコートのポケットから、あの包み紙を出した。
 

なにもできないくせに、と言うならば、やってやる。


【試し読み終わり】
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