ただ、貴方に逢いたい
現場は血塗れで倒れている人たちが見えるけど海音くんなのかどうかもわからない。

「倫ちゃん、電話かけてみろよ」

あゆむくんに言われて鳴らす。鳴ってるのか呼び出し音はしている…どこに居るの、早く出て!

「りんって人は居ますかー?」

何処からか名前を呼ばれる。この中に同じ名前の人は居るんだろうけど…なんでだろう、私のことだと直感する。

「……私…行かなきゃ」

頬に涙が伝う。

「倫ちゃん、一緒に行くから」

「うん、俺らも入るからしっかりしろ」

二人がしっかりと私の手を繋いでくれる。きっと二人も何か感じるところがあったのかもしれない。一人で行くよりも3人のほうが海音くんにもいいのかもしれない。

「すみません。私、りん…って言います!」

私の言葉に探していた救急隊員が反応する。

「君と同じ年ぐらいの男の子が呼んでいたんだ、“りん”と…会うかい?」

コクンと頷いて3人でついていく。
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