ただ、貴方に逢いたい
こんな風に海音くんを思い出しながら私の時間は過ぎていくんだろう。あの日着ていた服ももう私は着ることはない。あの日のことを思い出しては泣くことしか出来ないからだ。

いつかは、海音くんのことも思い出になるのかな?
今はきっと無理だけど、時間が経てば泣かずにいられるようになるのかなぁ?自分の右側を見る。海音くんがいつもいた私の隣。ただ、胸が痛くなる。



あぁ、海音くんに逢いたいな。
話がしたいな。
名前を読んで欲しいな……。

もう二度と叶うことがない当たり前のことだったのに。



「海音くん……私、他は望まない。


 ただ、貴方に逢いたいよ…!」


私の言葉は虚しく空へと消えていく。

< 28 / 29 >

この作品をシェア

pagetop