プラネタリウム
学祭当日。
結局、みちるちゃんといるようになってからの北斗からの連絡は「バイト終わった」とか「準備頑張れ」とかそんな感じで今。
ありえないよね?
これも彼氏彼女の会話?
友達…以上の会話では絶対ない。

これに対して「お疲れさま」とか「北斗もね」と返事をする。

それに対して「はい」と北斗。会話終了。

あきらかに前とは全然違う。
しかも急に…。

花火大会は何だったの?
あの甘い時間は嘘?

夏休みあけてすぐにこんな関係になった私達。

理由も聞かずに1ヶ月たった。

ある意味すごい…。自慢にならないけど。


学祭も交代で自由時間があって、北斗と歩けると思っていた私は多分一人…。

一人でまわったってつまんないよね…。
彼氏いるはずなのに…。

そんな時、りゅうくんが「一緒にまわらない?」

どうせ一人だったら二人の方がいい。
私はりゅうくんとまわった。

りゅうくんは特に何か話すわけでもなく、知っているはずの北斗との事を聞いてくるわけでもなくただ一緒にいてくれた。

先輩に冷やかされ、りゅうくん迷惑だろうなって思いながら。

ありがとう…りゅうくん…。

だけど最後に一言「泣きたい時は我慢しない」って言われて涙腺崩壊した。

誰もまわりにいない所に私を連れていってくれて…。

ずっと背中さすってくれてた。
何も聞かずに。

その光景を北斗が見ていた事にも気付かずに…。


私ね、北斗の誕生日プレゼント渡せず家にあるよ。
何買ったのって?
バイト代貯めて悩んだ末に買ったのは、ブレスレット。
かなり奮発したのに…。
もう9月の末だね。

でも今日渡す…。
受け取ってもらえなかったら、このブレスレットは父にでもあげよう…。
もらい手がいないのはかわいそうだから。


帰りに北斗を玄関で待っていた。
みちるちゃんと登場…。

「北斗…時間ある?」

「あるけど…みちるまた…お疲れ」

また?またなの?
しかも私の前でまた?
それはないよ…。

「お疲れ‼じゃっ」とみちるちゃん。

私にチラっと視線を向けて帰っていった…。
この先いい事ないね。

私の淡い初恋はきっと…今日でおしまい。

北斗と話した場所は私に告白してくれた場所。
始まりの場所…。

それまでの道のりは無言。
「ここで話そう」と北斗。

沈黙を破ったのは私。
「北斗はみちるちゃんが好きなの?私の事嫌になった?別れたいの?」

一度不安を口にしたら止められない。

「何でそうなるの?」

「だって…急に冷たくなって、私を避けてたよ」

「避けていたわけじゃない」

「じゃぁ…何?私…大丈夫。嘘ならいらない」

はぁ…ため息つかれた。

面倒なんでしょ。いいよ。はっきり言って。
誤魔化さないで…これ以上私を悲しくさせないで。

北斗が口をひらく。
「みちるとは友達だから…」

そうですか…とは思えないよ。

「みちるは、俺の兄貴の彼女」

……はいはい……ん?

北斗が続けた。
「俺の兄貴は今大学1年なんだ。だけど兄貴大学やめて働くとかいいだして、家族でもめてて…」

「で?みちるちゃんと関係あるの?」

「結婚したいとか言い出して…」

まさかの妊娠?ですか?

「妊娠…したの?」

「いや…普通に一緒にいたいらしい…」

北斗が言うには同棲したいとか。
両家で今じゃなくても急がなくてもとかでゴタゴタしてたらしい…。

北斗は今じゃなくてもいいじゃんってみちるちゃんを説得していたんだって。

結局、両家認めず…高校卒業後という事で話しはまとまったらしい。

お兄さんは自由人で突然起こすアクションに家族が振り回されているとか。

「忙しかったのもわかるよ。でも一言あってもよくない?不安で仕方なかったよ…」

「ごめん…気がまわらなくて…」

これは仲直り?だよね?

「俺が好きなのはあかねだから」

その一言で辛かった1ヶ月も一瞬で吹っ飛んだ。
単純な私。

「遅くなったけど」ってプレゼントも渡した。

喜んでもらえたし、ブレスレットが迷子にならなくてよかった。

「遅いし、帰ろ?」北斗が動かない。

「どうしたの?」

「りゅうと何してたの?」

今このタイミングで?っていうか見てたの?

私が一人だったから誘ってくれた事、泣いてしまった事を素直に話した。
あの時は振られる前提だったから…。

「ヤキモチやいた…」

いやいや…こっちのセリフですよ。

北斗はずるいね…。
だけど上手く操縦されちゃう私。

惚れた者の弱み…。

だけどそれすら悪くないと思ってしまう私はバカですか?
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