プラネタリウム
新たな一歩
最近生意気になってきた私。

ファッション雑誌を買って真似をしてメイクをしたり、バイト代で服を買ったり…女の子を満喫している。

最初は小言を言っていた母もあきれたのか何も言わなくなった。

髪の毛も邪魔になってきたし、いつ以来?だろう…。

またショートボブ。前髪ぱっつんにした。

私の髪はクセがそんなにないから短い方が結ばなくていいしラクだった。

大翔くんとは連絡を変わらず取っている。

大翔くんは就職希望。

だんだん近づく「将来」がまだ子供の私にはわからない。

ただ着々と近付いている。

この時期から行きたい学校を決めたくて進路指導室に通った。

私は今住んでいる所より都会に行きたい。

一度は親元を離れて生活したかった。

行きたい学校に行くには今の評定平均はギリギリだ…。

変わらず「歯科衛生士」になりたい。

そのためには勉強は必要不可欠。

バイトがない日は図書館で勉強した。

家にいるとはかどらない。

ついつい音楽聞いたり、雑誌読んだりダラダラしてしまうから。

相変わらず縮まらない大翔くんとの距離。
大翔くんは私の事を友達以上には思っていない気がする。

その関係もラクではある。

でも、期待しちゃうよ…。
マメに連絡くれたりすると。

恋に臆病な私は大翔くんに何も言えず、何も聞かず、その関係がりこにはじれったくて嫌だと言われる。

大翔くんが私をどう思ってるか聞いても、はっきり答えてくれないとか全く読めないとかりこが一人で話してる。

面白い…。

確かに読めない。
真っ直ぐだけど…。

曖昧な事を言わない性格だから、私を特別な目で見ているわけではなさそうだった。

いつからこんなに冷静に物事を考えられるようになったんだろう…。

前は色んな事に、ビクビクしてた…。

でも今は地元の子に会っても何とも思わないし、話しかけられる時もある。

何とも思わない。

強くなったのか…冷めたのか…。

両方なのか?

だけど自分の感情を出せるようになったのはきっとりこのお陰。

話の中にはなかなか出てこないりこ。
だけどかなりケンカした。

一週間口聞かない事も当たり前にあった…。

お互い思った事いい合えるようになるまでに1年かかった…。

だけど必ずお互い最後には「ごめん」の3文字で仲直り。

そうやって気付いた友達関係。

正直、面倒だと思った事もあった。
でも友は一生の宝だ。

どんな時も一緒に乗り越えてくれた戦友でもある。

りこには本当に感謝しているよ…。

恥ずかしくて言えないけど…。


りこはゆうりくんとずっと付き合ってる。
長い…。何だかんだケンカしてもすぐ仲直り。

すごい…。

りこがいうに…好きだから何でも許せるんだって。

素敵な愛の形。

まさに高校生活を楽しんでる。


私は私なりに楽しんでるつもり…。

今は踏ん張り時だから。


そんなある日、母の知り合いが働いてる歯医者さんからバイトの誘いがあった。

辞めた人がいるから雑用をしてくれる人を探していると。

私はコンビニのバイトを辞めて、歯医者さんのバイトを選んだ。

自分の勉強も兼ねて。

家から徒歩10分。
近い。

私はテスト期間以外と祝日以外はバイトで忙しくなった。

器材を洗ったり、必要な器具を用意したり…。
バタバタと過ぎていく毎日。

あっという間に気付けば大翔くんと出会って1年。

去年とは全然違う毎日。
当たり前。
だけど充実している。

クリスマス…。
去年みたいに家族とケーキ食べて終わりかと思っていた…

今年は大翔くんに誘われて一緒に映画を見に行った。

また見たい映画が一緒。

気が合う。

だけど…この日は…映画が終ってからの空気が違う。

面白くなかった?無言だけど。

この空気重くて嫌だから、私はバイトの話をした。

いつもみたいに乗ってこない。

「もう会えない」とか言われる?

そんな気になるような空気。

耐えられない私は…「言いたい事言って…」と。

大翔くんは「俺…我慢してた。あかねちゃん、元カレ引きずってたから。だけど…もう無理だから言うね。俺はずっとあかねちゃんの事好きだよ…」

しかも私を見て…そう言ってくれた。

「初めて会った時からかわいいなって思ってた…何話しても楽しくて…だけど自信なくて言えなかった。誕生日わざわざ来てくれた時は感動して泣きそうだった」

話が重たくならないようにそうやって言葉を選んでくれる大翔くんはやっぱり素敵だね。

私は…「今の言葉信じていいの?私不安で…」

「不安な事は言って。俺は全部受け止めるよ」

甘えていいの?

「大翔くんは不安ない?」

「ないって言ったら嘘になるけど、俺が不安な時はあかねちゃんが受け止めて」

お互いを支えあっていけばいい…て。

そう…求めてばかりじゃダメなんだ。

私は大翔くんに求めてた。
私の事どう思ってるかとか気付けば連絡くれるのもいつも大翔くんだった。

私にやれと言われても出来ない。

用事もないのに…って思われたらとか余計な事考えて。

それを大翔くんは私と出会って1年してくれた。
こんな私のために。

私が未練タラタラだったから、私の歩幅に合わせてくれてたんだ。

私ね…恋なんてしないって言ってたけど、大翔くんと恋始めるね。

たとえ…傷ついても。

後悔しないように…。

私達は「くん」 「ちゃん」 を卒業した。

今年のクリスマスは…素敵な日になりました。
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