センパイ、私は由宇です…。
Prologue
10月中旬の秋。
放課後、
窓からオレンジ色の夕日が差す廊下で私は思わず立ち止まる。
窓から見える夕日。
きれいだなぁ。
夕方で午前中よりも冷え込んできた空気を、夕日があたたかくしてくれたような気がした。
ずっと夕日に見とれていると、
廊下の窓際で黄昏いる男子生徒の後ろ姿が見えた。
...夕日がきれいだから見とれているのかな。
うちの学校の男子生徒にしては珍しい。
一体誰だろう...。
でも、その寂しげな後ろ姿...
どこかで見た気がする────。
この廊下で、
私が“ アナタ”の存在を知るきっかけになる。
そして
この出逢いはとても切なく苦しいものとなる。
< 1 / 23 >