豊中まわり

溢れる思い

深瀬を家まで送って、自分の家の玄関にたどり着いた。

玄関で母さんが、

「何も言わずに出っていって‼心配するでしょ‼」

と怒っていたが、ほとんど耳に入らず

部屋に戻ってベットに寝転んだ。

ほんの2時間前までここで悶々としていたのに。

深瀬に会いたい。

深瀬の声が聞きたい。

そう思ってスマホを眺めていたのに。

彼女!深瀬が俺の!本当に?夢じゃない?

「〝氷上が〟いいんだよ。」

と言った深瀬が俺の頭を占領していた。

何度もリピートさせて余韻に浸っているのに、

「涼!さっさとお風呂入んなさい!」

1階からのデカイ声がそれを遮った。

近所迷惑だよ母さん。

しぶしぶ風呂場にいって、湯船に浸かると、ふと、さっきの出来事を思い出し、自分の気持ちを伝えていないことに気付いた。

「あぁぁぁぁ。」

風呂場で苦悩する俺は、また母さんに怒られた。







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