豊中まわり
塾に着いた。

今日の僕は確認すべきことがある。

深瀬結莉

どんなやつか見なければ。

クラスの掲示板の席順表をみた。

深瀬なんて名前は見当たらない。

おかしいな。トップ10に入るようなやつが、他のクラスであるはずがない。

しかし名前はない。

先生が入ってきて、

「何してんだ周防。席わからないか?」

と冗談ぽく言った。

どうしても気になったので

「深瀬…さんって…」

と聞いてみた。

「あぁ。深瀬な。周防抜かれてたもんな。
深瀬はこのクラスじゃないんだ。高校受験クラスだから同じ時間にはならんなぁ。」

ははっと軽く笑って授業を始めた。

高校受験クラス?あの週2しかない?
勉強できないから親に無理矢理塾入れられた的なアツマリ。
実力あるならなんで中学受験しないんだ。

きっとビギナーズラックか何かだろう。

3ヶ月後のテストではいなくなってるさ。

ママの送り迎えで通塾していた僕には、他のクラスを覗く余裕はなかったし、この教室は6つほどの小学校から生徒が通っている。

顔もわからないし探すのは諦めた。



しかし3ヶ月のテストも
そのまた3ヶ月後のテストも深瀬結莉はトップ10にランクインしていた。

心の中に名前だけが引っ掛かり気になっていた。
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