豊中まわり
小学校最後の日 卒業式。
とても 寒い日だったが、雪は 降っていなかった。
今日で深瀬と会うのは 最後になるかもしれない。
教室に入ると、深瀬は ひときわ輝いていた。
袴姿が とびきり 似合っていた。
そう思っているのは 僕だけではない。
氷上や 数人の男子も チラチラ 深瀬を見ている。
式が終わり、山上先生の涙の別れの言葉が 続いた。
深瀬は 凛とした顔で 話を聞いていた。
先生の話が 永遠に 終わらなければいいのに。
ずっと 深瀬の横顔を 見ていられるのに。
無情にも 最後の挨拶が終わり、長い小学校生活が 終わった。
下駄箱で、深瀬と目があった。
「中学でも勉強頑張ってね。」
少し赤い目の深瀬が にっこり笑った。
ふいに言葉が出た。
「大学は、こっちに戻ってくるから、同じ大学行こうよ。そしたらまた一緒に勉強してくれる?」
僕の精一杯だった。
「周防君と一緒の大学だったら、もっといっぱい勉強しなくちゃね。行けたらいいね。」
深瀬が笑って答えてくれた。
好きだと伝えることはできなかった。
伝えたところで、深瀬を困らせるだけだろう。
今はまだ。
伝えた言葉に肯定も否定もされなかったが、僕には一筋の道が見えた。
とても 寒い日だったが、雪は 降っていなかった。
今日で深瀬と会うのは 最後になるかもしれない。
教室に入ると、深瀬は ひときわ輝いていた。
袴姿が とびきり 似合っていた。
そう思っているのは 僕だけではない。
氷上や 数人の男子も チラチラ 深瀬を見ている。
式が終わり、山上先生の涙の別れの言葉が 続いた。
深瀬は 凛とした顔で 話を聞いていた。
先生の話が 永遠に 終わらなければいいのに。
ずっと 深瀬の横顔を 見ていられるのに。
無情にも 最後の挨拶が終わり、長い小学校生活が 終わった。
下駄箱で、深瀬と目があった。
「中学でも勉強頑張ってね。」
少し赤い目の深瀬が にっこり笑った。
ふいに言葉が出た。
「大学は、こっちに戻ってくるから、同じ大学行こうよ。そしたらまた一緒に勉強してくれる?」
僕の精一杯だった。
「周防君と一緒の大学だったら、もっといっぱい勉強しなくちゃね。行けたらいいね。」
深瀬が笑って答えてくれた。
好きだと伝えることはできなかった。
伝えたところで、深瀬を困らせるだけだろう。
今はまだ。
伝えた言葉に肯定も否定もされなかったが、僕には一筋の道が見えた。