豊中まわり
たった2駅なのに、こんなにドキドキしていてこの先大丈夫かな…。

駅に着くと長いスロープがあり、ようやく歩きやすくなった。

さっき近づき過ぎた分、心なしか少し距離がある気がする。

また目線が合わないし。

せっかくの初デートだし、隣に近づきたいな。

少し歩調を早めて 氷上の隣にいった。

「ごめん。歩くの速かった?」

「ううん。隣がいいなと思って。」

ようやく思ってることが言えた。

チラッと氷上の方を見ると、氷上の顔がなんか赤い。

「どうかした?」

私、変なこと言ったかな。

「嬉しすぎて、テレる…。手…繋ぐ?」

差し出された手がうれしくて、

氷上の照れた顔が可愛くて、

ドキドキしているのが自分だけじゃない ってわかって、安心した。

氷上の手を握って、右手も心もあつくなった。

私のママの好きな歌に

繋いだ手から好きが出てる気がしてーーー

っていう歌詞がある。

ふいにそれを思い出した。

私の右手、絶対〝好き〟があふれでてる。
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