豊中まわり
氷上 涼
正しい理性の保ち方
今日は深瀬が、うちに遊びに来る。
母さんがこの前の試合で 深瀬を誘って、
毎日のように 連れてこい!ってうるさいから
深瀬に言ったら、
「もちろん。お邪魔するよ。」
って可愛く言うんだ。
でも、でも、俺は正直自信がない。
出来れば外で会いたかった。
いや、家に来て欲しくないわけじゃない。
むしろ、来てほしい。
もう俺は自分がわからない。
あぁぁぁぁぁ。
とりあえず部屋を片付けなければ…
そう。俺は今ひとつ悩みがある。
それは…まったく自分の行動が抑えられないことだ。
今までずっと片想いしてきた分(深瀬いわく、両思いらしいがそんなはずはない。)、深瀬への思いは、かなり重い。
毎日のように 写真やスマホに取り込んだ深瀬を見ては、色々妄想していた。
5年以上。
プチストーカーだ。
デート行くならここに行きたいなー
とか
誕生日にはこれをあげたいなー
とか
もちろん妄想で、キスしたい
とか
部屋に来たら、こんなことや、あんなこともしたい…と中学生の妄想は止まらなかった。
でも、実際深瀬が彼女になってくれて、
俺のこと 好きだ って言ってくれて、
絶対嫌われたくない。
絶対別れたくない。
絶対手離したくない。
そう思ったんだ。
だから、ちゃんと、ちゃんと付き合おう
深瀬に嫌がられないように…
と思っていたのに…
最初にやらかしたのは、学校帰りに合った時。
昨日、付き合って‼って言ったばかりなのに、
「両思いだったんだね。」っていう
深瀬の意外な言葉と笑顔の破壊力で
抱きしめてしまった。
勝手に手が、体が動いたんだ。
自分で自分に驚いた。
今まで話もできなかったのに、急に距離が縮まって 俺はおかしくなってしまった。
深瀬に嫌がられなかったこと だけが救いだ。
証拠にもなく、次もやらかした。
土曜日の初デート。
初デートは、ここって決めてた。
妄想王子の俺は、もう何回もここで深瀬とデートした。
とりあえず初デートでは、映画を見てお茶して帰る予定だった。
しかし、現実の深瀬は強敵だった。
駅で待ち合わせした時からヤバかった。
だんだん暑くなる気候のせいで、深瀬は薄着だった。
完全に誤算だ。
淡い水色のスカートに、同じ柄のノースリーブ!
しかも髪を可愛らしく、結んでる。
見たいとこがいっぱいだけど、どこも見れない。
俺だけが近くで見ていいなんて バチが当たりそう。
そしてうれしい誤算が続く。
乗ったモノレール。
いつもガラガラなのに、あの日のあの時間、満員。
深瀬を他の男に見られるのも、
触れられるのも嫌な 心の狭い俺は、深瀬をドア側に、守るような形をとった。
しかしこれが命取り。
目のやり場がない。
顔をみたら、可愛いし、
目を反らすと、胸元が気になって仕方ない。
深瀬はすらりと細いのに、胸がけっこうある。
悩殺ボディーだ。
こんなこと思ってることがバレたら、確実に嫌われる。
小学生のころから大好きなのに、更にこんな魅惑的になられたら、俺はどうしたらいいんだ。
中学の時は遠くからしか見れていないから、近い深瀬に慣れない。
俺の想像や妄想をいとも簡単に越えてくる。
景色でも見て気を紛らわそう…と思った瞬間、
モノレールなのに揺れた。
深瀬も俺もバランスを崩した。
そのせいで、体が触れあい、深瀬の耳が俺の口元にきた。
一瞬そのまま深瀬の耳に触れたい衝動にかられた。
しかし、反対側のドアが開いたことで冷静さを取り戻した。
「大丈夫?」と聞いてみたが、
大丈夫でないのは俺だ。
なんでこんな衝動にかられるんだ。
俺に理性はないのか。
深瀬の控えめな いい香りに
理性の限界ギリギリだった。
その後も、隣を歩きたいと言ってくれたり、
映画をみて泣いている深瀬に
完全に 心を持っていかれた。
で、調子に乗って観覧車に誘ってしまった。
そこで俺は、未知の自分に出会う…
観覧車に乗った瞬間、
二人とも緊張したのがわかった。
二人だけの密室。
だから、何もしないように席は向かい合わせで座ったんだ。
なのに、なのに、隣のカップルがイチャイチャしてるから、
「こっち来る?」
なんて、どの口が言う!
深瀬も来るし!いや、うれしいんだけど。
何か喋らなくては…と思っていたら、手が少し触れて
あのいい香りがした。
深瀬が振り返り、
彼女の瞳を見た瞬間、
俺は理性を失った。
その瞳に吸い込まれるように、
唇を奪った。
何も考えられず、
ただただ柔らかい彼女の唇が欲しくて、
呼吸をすると、また唇を重ねた。
俺が 自分勝手に唇を塞ぐから、
深瀬の漏れ出る吐息がセクシーで、
止まらなかった。
どのくらいそうしていたかわからない。
確実に半周分は景色を見ていない。
ゴンドラが地上に近づいて、
我に返った。
ヤバイ。
今日はそんなつもりじゃなかったのに。
何やってるんだ俺。何やってるんだ。
つきあってまだ一週間だろ。
初めてのデートだろ。
こんなことしたら、嫌われるんじゃないか?
深瀬…失望してないかな…
顔が見れない。
嫌…だったらどうしよう。
現実の俺は意気地のないやつのはずなのに。
妄想王子の俺は、妄想では何度も深瀬とキスをした。
でも、実際には初めてだ。
妄想での初キスは、短く、スマートだった。
でも、実際に深瀬を前にすると、
体が勝手に動くんだ。
頭では、するつもりのないことまで。
止まらない。どうしたらいいんだ。
イメトレのしすぎで勝手に体が動くのか?
5年のイメトレと、至近距離の深瀬は、相乗効果絶大。
それなのに母さんが、家に呼べとか言うから…
二人きりになったら俺はヤバイんだぞ。
とりあえず今日は、母さんもいることだし、適切な距離を保てば、大丈夫か…大丈夫かなぁ。俺。
母さんがこの前の試合で 深瀬を誘って、
毎日のように 連れてこい!ってうるさいから
深瀬に言ったら、
「もちろん。お邪魔するよ。」
って可愛く言うんだ。
でも、でも、俺は正直自信がない。
出来れば外で会いたかった。
いや、家に来て欲しくないわけじゃない。
むしろ、来てほしい。
もう俺は自分がわからない。
あぁぁぁぁぁ。
とりあえず部屋を片付けなければ…
そう。俺は今ひとつ悩みがある。
それは…まったく自分の行動が抑えられないことだ。
今までずっと片想いしてきた分(深瀬いわく、両思いらしいがそんなはずはない。)、深瀬への思いは、かなり重い。
毎日のように 写真やスマホに取り込んだ深瀬を見ては、色々妄想していた。
5年以上。
プチストーカーだ。
デート行くならここに行きたいなー
とか
誕生日にはこれをあげたいなー
とか
もちろん妄想で、キスしたい
とか
部屋に来たら、こんなことや、あんなこともしたい…と中学生の妄想は止まらなかった。
でも、実際深瀬が彼女になってくれて、
俺のこと 好きだ って言ってくれて、
絶対嫌われたくない。
絶対別れたくない。
絶対手離したくない。
そう思ったんだ。
だから、ちゃんと、ちゃんと付き合おう
深瀬に嫌がられないように…
と思っていたのに…
最初にやらかしたのは、学校帰りに合った時。
昨日、付き合って‼って言ったばかりなのに、
「両思いだったんだね。」っていう
深瀬の意外な言葉と笑顔の破壊力で
抱きしめてしまった。
勝手に手が、体が動いたんだ。
自分で自分に驚いた。
今まで話もできなかったのに、急に距離が縮まって 俺はおかしくなってしまった。
深瀬に嫌がられなかったこと だけが救いだ。
証拠にもなく、次もやらかした。
土曜日の初デート。
初デートは、ここって決めてた。
妄想王子の俺は、もう何回もここで深瀬とデートした。
とりあえず初デートでは、映画を見てお茶して帰る予定だった。
しかし、現実の深瀬は強敵だった。
駅で待ち合わせした時からヤバかった。
だんだん暑くなる気候のせいで、深瀬は薄着だった。
完全に誤算だ。
淡い水色のスカートに、同じ柄のノースリーブ!
しかも髪を可愛らしく、結んでる。
見たいとこがいっぱいだけど、どこも見れない。
俺だけが近くで見ていいなんて バチが当たりそう。
そしてうれしい誤算が続く。
乗ったモノレール。
いつもガラガラなのに、あの日のあの時間、満員。
深瀬を他の男に見られるのも、
触れられるのも嫌な 心の狭い俺は、深瀬をドア側に、守るような形をとった。
しかしこれが命取り。
目のやり場がない。
顔をみたら、可愛いし、
目を反らすと、胸元が気になって仕方ない。
深瀬はすらりと細いのに、胸がけっこうある。
悩殺ボディーだ。
こんなこと思ってることがバレたら、確実に嫌われる。
小学生のころから大好きなのに、更にこんな魅惑的になられたら、俺はどうしたらいいんだ。
中学の時は遠くからしか見れていないから、近い深瀬に慣れない。
俺の想像や妄想をいとも簡単に越えてくる。
景色でも見て気を紛らわそう…と思った瞬間、
モノレールなのに揺れた。
深瀬も俺もバランスを崩した。
そのせいで、体が触れあい、深瀬の耳が俺の口元にきた。
一瞬そのまま深瀬の耳に触れたい衝動にかられた。
しかし、反対側のドアが開いたことで冷静さを取り戻した。
「大丈夫?」と聞いてみたが、
大丈夫でないのは俺だ。
なんでこんな衝動にかられるんだ。
俺に理性はないのか。
深瀬の控えめな いい香りに
理性の限界ギリギリだった。
その後も、隣を歩きたいと言ってくれたり、
映画をみて泣いている深瀬に
完全に 心を持っていかれた。
で、調子に乗って観覧車に誘ってしまった。
そこで俺は、未知の自分に出会う…
観覧車に乗った瞬間、
二人とも緊張したのがわかった。
二人だけの密室。
だから、何もしないように席は向かい合わせで座ったんだ。
なのに、なのに、隣のカップルがイチャイチャしてるから、
「こっち来る?」
なんて、どの口が言う!
深瀬も来るし!いや、うれしいんだけど。
何か喋らなくては…と思っていたら、手が少し触れて
あのいい香りがした。
深瀬が振り返り、
彼女の瞳を見た瞬間、
俺は理性を失った。
その瞳に吸い込まれるように、
唇を奪った。
何も考えられず、
ただただ柔らかい彼女の唇が欲しくて、
呼吸をすると、また唇を重ねた。
俺が 自分勝手に唇を塞ぐから、
深瀬の漏れ出る吐息がセクシーで、
止まらなかった。
どのくらいそうしていたかわからない。
確実に半周分は景色を見ていない。
ゴンドラが地上に近づいて、
我に返った。
ヤバイ。
今日はそんなつもりじゃなかったのに。
何やってるんだ俺。何やってるんだ。
つきあってまだ一週間だろ。
初めてのデートだろ。
こんなことしたら、嫌われるんじゃないか?
深瀬…失望してないかな…
顔が見れない。
嫌…だったらどうしよう。
現実の俺は意気地のないやつのはずなのに。
妄想王子の俺は、妄想では何度も深瀬とキスをした。
でも、実際には初めてだ。
妄想での初キスは、短く、スマートだった。
でも、実際に深瀬を前にすると、
体が勝手に動くんだ。
頭では、するつもりのないことまで。
止まらない。どうしたらいいんだ。
イメトレのしすぎで勝手に体が動くのか?
5年のイメトレと、至近距離の深瀬は、相乗効果絶大。
それなのに母さんが、家に呼べとか言うから…
二人きりになったら俺はヤバイんだぞ。
とりあえず今日は、母さんもいることだし、適切な距離を保てば、大丈夫か…大丈夫かなぁ。俺。