豊中まわり
結莉のお母さんと別れて、家に戻ると、
待ってましたとばかり 母さんが、

「ちゃんと挨拶した?靴揃えた?変なことしなかった?」

と矢継ぎ早に聞いてきた。

「大丈夫…ちゃんとしたよ。」

嘘だけど。変なことして微妙な空気で帰ってきたよ。
とは言えず、階段を上がり
自分の部屋のベッドに寝転んだ。

結莉のお母さんと話して、今まで腑に落ちなかったことがクリアになった。

あんなに完璧人間なのに、疑心暗鬼な結莉のワケが。
しかも、やっぱり その一端は、俺のせいでもある。

俺がさっさと告白して、結莉を守っていれば、そんな悲しい考えをもたなくてもすんだかもしれない。

女子の嫌がらせを止めれていれば、
もっと自信をもった女性になっていたかもしれない。

俺が微妙な距離感で不安にさせなかったら
結莉が悩むこともなかったかもしれない。

俺には、出来たことがいっぱいあったのに、
何もしていない。

でも、過去は変えられない。

だからこそ、俺が、これ以上結莉を傷つけないよう守らなくては。

女子の嫉妬からも、男子の好意の目からも。

でも、守るどころか俺が一番だめだ。

あぁ。さっきのこと結莉に謝らないと。
でもなんて?

急に襲いかかってごめん。
驚かせてごめん。
勝手に胸触ってごめん…

最低だな。俺。

結莉の胸の感触を思い出した。

ずっと触りたくて、触れた…
柔らかかったな…
フニフニだったな…
もっと触りたい…

あぁ!証拠にもなく俺はエロいことばっかり‼

でも、どうやって謝ればいいんだ。

もうそんなことしないから…とは約束できない。

いつかは結莉としたい…。
結莉の全てが欲しい。
結莉の初めてもこれからも全部欲しい。

俺はいつでもその気だけど

でも、今日じゃなかった。
彼女の家に初訪問で、おうちの人もいるのに。

あれだけ今まで妄想してきたのに、
一番ダメなパターンだ。

「あぁぁぁぁ。」

言いながらベッドをのたうち回っていると、

「涼‼ ごはんだよ!降りてきなー!」

と母さんのデカい声が響きわたった。



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