豊中まわり

思い

朝起きると、いつもより清々しい気分だった。

朝から30分勉強が日課。

でも今日はすぐにスマホを見た。

夢じゃない。

昨日の痕跡がスマホに残っている。

うれしさが込み上げてきて、勉強は手につかない。

机の上の鏡とにらめっこしていた。

フォンという音がなった。

あわててスマホを見た。氷上だ!

ーおはよう。今日学校何時まで?
時間あったら会える?ー

体温が高くなるのが自分でもわかる。

即レスは苦手だったのに、即レスが苦手な訳じゃなく、相手が苦手なだけだったことに気づく。

ーおはよう。部活あるから5時まで。
私も会いたい。ー

会いたい

とかドン引きされたらどうしよう。と一瞬思った。

だけど、自分の気持ちに素直になりたかった。

人の目ばかり気にしていた 自分を変えたかった。

氷上と高校が違うことは、私にとってはうれしかった。

もう誰が氷上のことを好きでも、見えなければ関係ない。

他人の気持ちに気を使って、自分の気持ちに蓋をする必要もない。

またスマホの音がなった。

ー俺も5時まで。俺の高校、店への寄り道禁止されてるから、深瀬の高校まで迎えにいっていい?
公園で待ち合わせとかだと危ないし。ー

おぉぉぉぉぉぉぉ。

青天の霹靂。

私のことを迎えに。いいの?そんなことしてもらって。なんだか、幸せが次々に舞い降りて怖いぐらい。

確かに氷上の帰り道に私の高校はある。

氷上の高校は私立で校則がかなり厳しい…

迎えにって、つきあってるっぽい‼

ーじゃあ待ってるので、着いたら連絡下さい。ー

早めに返信して、もう一度鏡を見た。

今日は授業も部活も手につかない予感…。

時計に目をやり、慌てて階段をかけおりた。
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