豊中まわり
不安要素を抱いたまま、文化祭の片付けがあるので、結莉をバス停まで送り、教室に戻った。
片付け終わって、廊下に出ると、
見たくない顔が俺を待っていた。
無視して帰ろうとすると、
「氷上はなんで結莉なの?」
と、長瀬が話しかけてきた。
「なんでそんなこと、お前に言わなくちゃならないの?」
キレ気味に言うと、
「氷上ってさぁ、めっちゃモテるでしょ。
運動神経抜群でー、1年から強豪サッカー部のレギュラーでー、背が高くてー、イケメンなのにチャラチャラしてなくてー。
今まで、超カワイイ子にもたくさん告白されたでしょ?
他の子と付き合おうと思ったことないの?」
「ないよ。俺からしたらお前の方が信じられないけど。
まわりに好きでもない女いっぱいいて、めんどくさそう。」
「ヒドイな。氷上。
自分を好きだって言ってくれる子、
いっぱいいたら楽しいじゃない。
なんか氷上って、正しいイケメンってかんじでムカつくね。
モテるのに、初恋の相手ひとりをずっと思って、彼女にして、大切に愛を育んでる系?
結莉に本気になって怖くないの?」
「何言ってんの?正しくないイケメン。
本気の何が悪いの?
適当に遊んでるお前にはわかんないだろうけど。」
「ひどいなぁ。結莉に本気になって、階段から突き落としたやつなら見たことあるけど。」
「お前なのか?」
「違うよ。
結莉しか見えない真っ直ぐな少年が、
好きすぎて傷つけてしまう瞬間を見ただけだよ。
子どもながらに 結莉にハマる恐ろしさを感じてさ。
でも、やっぱり魅力的だよね。
子どもの頃より女らしくなってるし。もう触った?」
長瀬はそう言って、自分の胸のあたりを触った。
コイツの口から結莉の名前が出てくることさえ嫌なのに。
「長瀬、女に不自由してないだろ。
取り巻きと遊んどけよ。」
「えー。でも、俺、まわりの女の子達とは基本、清い交際なんだよね。
高校生なんて金ないし、やるとこなくない?」
「俺に聞くなよ。」
「エロマンガとかでは学校とかでヤってるけどさ、実際できないよねー。
教室すぐ鍵かかるし。バレたら退学だし。
家もさー。俺んちは嫌だし。
中学の時、女の子の家で その子が突然欲情して脱ぎ出してさ、そしたらお父さん帰ってきてさー。
正座で一時間説教されたんだよ。
それ以来女子の家もトラウマでさー」
「知らねーよ。」
「で、なんだかんだで、まだなんだよね。氷上も仲間でしょ?」
「お前、ウザイって言われない?」
「男子からは人気ないねー。
幼稚園のころから。
で、やっぱり結莉かなーと思って。」
「はぁ?」
「一周回って、結莉にハマってみようかなって。
結莉ってさ、なんか綺麗でしょ。
触れちゃいけない宝石みたいで。
でも、ダメって言われると無性に触れたくなるのはなんでだろうね。」
「ふざけんな。」
「ふざけてないよ。正しいイケメンに宣戦布告。」
「もう会わせないし。」
「大丈夫大丈夫。俺、特別ルート持ってるから。じゃあね氷上。」
長瀬は嫌な言葉を残して、階段を降りていった。
俺の黒い心の染みを大きくして。
片付け終わって、廊下に出ると、
見たくない顔が俺を待っていた。
無視して帰ろうとすると、
「氷上はなんで結莉なの?」
と、長瀬が話しかけてきた。
「なんでそんなこと、お前に言わなくちゃならないの?」
キレ気味に言うと、
「氷上ってさぁ、めっちゃモテるでしょ。
運動神経抜群でー、1年から強豪サッカー部のレギュラーでー、背が高くてー、イケメンなのにチャラチャラしてなくてー。
今まで、超カワイイ子にもたくさん告白されたでしょ?
他の子と付き合おうと思ったことないの?」
「ないよ。俺からしたらお前の方が信じられないけど。
まわりに好きでもない女いっぱいいて、めんどくさそう。」
「ヒドイな。氷上。
自分を好きだって言ってくれる子、
いっぱいいたら楽しいじゃない。
なんか氷上って、正しいイケメンってかんじでムカつくね。
モテるのに、初恋の相手ひとりをずっと思って、彼女にして、大切に愛を育んでる系?
結莉に本気になって怖くないの?」
「何言ってんの?正しくないイケメン。
本気の何が悪いの?
適当に遊んでるお前にはわかんないだろうけど。」
「ひどいなぁ。結莉に本気になって、階段から突き落としたやつなら見たことあるけど。」
「お前なのか?」
「違うよ。
結莉しか見えない真っ直ぐな少年が、
好きすぎて傷つけてしまう瞬間を見ただけだよ。
子どもながらに 結莉にハマる恐ろしさを感じてさ。
でも、やっぱり魅力的だよね。
子どもの頃より女らしくなってるし。もう触った?」
長瀬はそう言って、自分の胸のあたりを触った。
コイツの口から結莉の名前が出てくることさえ嫌なのに。
「長瀬、女に不自由してないだろ。
取り巻きと遊んどけよ。」
「えー。でも、俺、まわりの女の子達とは基本、清い交際なんだよね。
高校生なんて金ないし、やるとこなくない?」
「俺に聞くなよ。」
「エロマンガとかでは学校とかでヤってるけどさ、実際できないよねー。
教室すぐ鍵かかるし。バレたら退学だし。
家もさー。俺んちは嫌だし。
中学の時、女の子の家で その子が突然欲情して脱ぎ出してさ、そしたらお父さん帰ってきてさー。
正座で一時間説教されたんだよ。
それ以来女子の家もトラウマでさー」
「知らねーよ。」
「で、なんだかんだで、まだなんだよね。氷上も仲間でしょ?」
「お前、ウザイって言われない?」
「男子からは人気ないねー。
幼稚園のころから。
で、やっぱり結莉かなーと思って。」
「はぁ?」
「一周回って、結莉にハマってみようかなって。
結莉ってさ、なんか綺麗でしょ。
触れちゃいけない宝石みたいで。
でも、ダメって言われると無性に触れたくなるのはなんでだろうね。」
「ふざけんな。」
「ふざけてないよ。正しいイケメンに宣戦布告。」
「もう会わせないし。」
「大丈夫大丈夫。俺、特別ルート持ってるから。じゃあね氷上。」
長瀬は嫌な言葉を残して、階段を降りていった。
俺の黒い心の染みを大きくして。