晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
昨日も1日ずっと上の空。

本人に聞いて確かめたわけじゃないけど……私の予想は的中していると思う。


真田がサトタツを好きだってこと。


真田とその類の話をしたことがなかったから、知らなかった。

……ううん。どんな状況であれ、きっと真田は言わなかったと思う。

そういう大切なことは、誰にも打ち明けず自分1人の胸に留めておく性分だろうから。




「ねぇ康介、変なこと聞くけど驚かないでね」

「お前が変なのはいつもだから驚かねぇよ。何?」


それぞれ部活を終えた私と康介は、冷たい風に揺れる街路樹を横目に帰路についている。

右肩に食い込むスポーツバッグがいつにも増して重く感じた。


「壊さないように大切にしてたものが、二度と手に入らなくなるかもしれないってわかったら……どうする?」
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