晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
耳を塞いでしまいたいと思う一方で、息を止めて次に続く言葉を待っている自分がいた。


「この間の記録会、結構調子よかったからさぁ。この勢いのまま行きたいんだよねぇ」

「コンディションってやっぱり大事だよねー。あんた今絶好調だし、頑張りなよ」

「ありがと、そっちもね」


お疲れ様でーす、と無邪気な声で投げかけて、会話を繰り広げていた2人は部室を出て行った。

投げかけられた言葉を投げ返すことも、まして受け取ることも出来なかった私は、聞いて──やっぱり耳を塞げばよかった、と激しく後悔した。


記録会。それは、今月初頭に行われたオープン戦のようなものだ。

もちろん、私も出走した。そして、結果は散々だった。

思うようなスタートが切れない。思うような走りが出来ない。

何もかもが思い通りにならないまま、自己ベストには到底及ばないタイムで100メートルを走り終えた。


そして来月初頭、インターハイの地区予選が行われる。
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